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ー第14話ー悪役だったから悪役を決めたくない。
皮肉な話だと思う。
人が怖くなり、関わりを拒絶した結果人から拒絶されているのは。
成瀬のような分がいい一例だろう。
勿論、成瀬が悪いわけじゃない。しかし、成瀬が悪いといえばそうなるだろう。
人を信じられなくなったら終わりだ。
そんな言葉があるのは人は支え合わないと生きていけないからだ。
人は皆、誰かの負けがあり、勝ちがある。
……感情的だって?
否、そういう訳じゃない。
情報を共有するのも、勝ち負けがあるのも全て人が居て成り立つものだ。
ライターの火が小さく光り、タバコに火をつける。
俺はどっち側かしら。
そんな冗談混じりに考える。しかし、決めないといけないと言う思いと共に『決めては行けない』と言う迷いが生まれる。
きょー「でも、もう成瀬側にはなれないよな。」
困りながら笑う。
カタン……
きょー「…らっだぁか」
後光が影になり振り返る。
らっだぁ「お、正解。」
校舎裏にいるのが分かったのはこちら側に行くのを見かけたか……
きょー「着いてきたか。」
らっだぁ「せーかい笑」
そう言ってらっだぁは隣に立つ
きょー「何か?」
らっだぁ「……俺たちが流した覚えのない情報が流れてたんだよ。知らない?」
光が目に映る。成瀬とは反対な目。
同じ設立者なのにな。何処から違うのか。
きょー「知らんな。なんの情報が流れたんだ?」
あえてシラを切る。
らっだぁ「俺たちが流した俺たちの過去の他に、設立者とか流れてたらしい。」
……何言ってるんだ?
きょー「間違ってないか?」
らっだぁ「はい引っ掛かったー!」
ゴンッ
鈍い音がなり、自分の手はらっだぁの腹に当たっていた。
らっだぁ「いったぁー!!!」
腑抜けた声で痛がる為、雰囲気が台無しだ。
らっだぁ「いつ言ってたん?」
腹を抱え質問する。
きょー「記者が来たと言った時だな。」
考える素振りをしながら答える。考えなくても答えがわかっていたが
…まあ雰囲気づくりだ。
らっだぁ「結論出すの早すぎ……ッ」
きょー「そうだ。上の校舎も気になるでしょうけど、もっとでかいニュースがあるんです。」
悪い笑みを浮かべ、記者を見る。
記者「なんですか?是非とも教えて欲しいものです。」
さっきまでのお茶目な人とは思えない程真面目なトーンで言った。
きょー「…設立者についてだ。」
記者「ほう……?」
らっだぁ含むヴィランは元々ヒーローだった事。
第2社長に変わった時、目障りな俺たちのヒーロー派閥をヴィランと塗り替えてニュースに流したこと。
ちゃんとした情報も提示して、な?
らっだぁ「じゃあ、成瀬を……ッ」
きょー「勘違いするなよ。あくまで真実を提供しただけだ。協力するとは言ってない。」
その言葉は今までで1番低い声だった。
ごめんな。
お前の元にいると、成瀬が報われない。
分かってくれ。これは俺達のためでもあるんだ。
コメント
5件
oh…きょーさん…好き