mtk_side
ゆっくりと目を開けると見慣れた天井があった。
…………頭が割れるように痛い。
薬を飲もうとうめき声をもらしながら体を起こした。
少し声を出した途端喉に痛みが走ってハッとした。この風邪…喉にもクるやつか…
そういえば何日も声を出していない。試しに、あーと発声してみるとガサガサの掠れた声が絞り出た。やばい…。俺ボーカルなのに…。薬飲んでさっさと寝よう。きっといっぱい寝たら治るでしょ…。
プルルルルル
その時突然、着信音が鳴り響いた。びっくりして思わず心臓を抑える。
スマホを手に取り名前を確認すると涼ちゃんからだった。
「…も”じも”じ…??」
「どうじだの?り”ょうぢゃん…」
『うわっ元貴声どうしたの!!!??』
『誰かと思ったよ…💦』
「がぜひい”たんだよー…、、こ”んなに体調崩すの”ひざしぶりで…、」
『わぁ…それは大変だなぁ、誰も元貴と連絡つかないって言うから心配になって電話したんだけど…』
『その感じだとやっぱり大丈夫じゃなさそうだね…』
「あ…そう”いえば携帯全然確認してな”かった…ごめん”…」
『いやいやそれはしょうがないよ』
『ごめん元貴、助けに行きたいんだけど俺いま免許合宿で他県にいるんだよね…』
「へぇ”…それ”は、頑張っでね”!!それに大丈夫!!助けとか申し訳ないじ…💦寝てればすぐ治るから”…、!ゴホッゴホッゲホッ」
『もー全然大丈夫じゃないでしょ…とりあえず行けそうな人に連絡して、救助しに行ってもらうから今は薬飲んで寝てな!!』
「いや…だいJ」
ブツッ📱
ブツ切りされてしまった。……まぁ、確かに家に食べ物何もないし…買ってきてくれたりする人いるとありがたいけど……。
…なんか、もう なんでもいいや…とりあえず寝てよう……、
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wki_said
ピンポーン
「……元貴ー…?」
涼ちゃんに連絡を返したあと本当は少し悩んだ。会うのはあの宅飲み以来だし…、気まずくないといえば嘘にはなる。
だけど風邪ひいてる人をほっとくわけになんかいかないし。スーパーに寄ってから元貴の家に急いで向かった。…………まではいいんだけど、
さっきから何度かチャイムを鳴らしたりノックしたりしてるけど全然出てこない。
……もしかして、避けられてる…?信じたくないけど、それなら連絡がぱったり無いのも頷ける。実際涼ちゃんは風邪のことを知っていて元貴と連絡取れてるっぽかったし…。
……どうしよう…。緊張が増してきた。買ったものだけ置いて帰ろうかな…。
ドアの前でうろうろ悩んでいると、
ガチャ🚪
ゆっくりとドアがあいて、顔色が真っ白の元貴がゆらゆら出てきた。
「っ、元貴」
「大丈夫、??」
「………わかい”…?…お”見舞いきてぐれだの?」
「ありがどう”…」
「え…元貴、声…」
「あぁ…そ”うなんだよね”、喉枯れちゃって”…」
「…ごめん…、悪化する前に俺が来れてたら…」
「え”!?いやいや、、若井が謝るところじゃないでじょ!!」
「これは”、俺の自己管理不足でッゲホッゴホッ」
「わ、わかったわかった💦とりあえず寒いし中入ろう」
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中に入ると随分と暗くて寒かった。いつもの明るい雰囲気とは全くかけ離れている。
「元貴寒くないの?暖房つけようか?」
「え”、あぁそう”いえば…全然寒く”なかっだかも…なんでだろう”」
「もうそろ怖いよ元貴…ほんとにそれただの風邪なの…?」
話をしながらレジ袋から商品を取り出し冷蔵庫や冷凍庫に素早く分別していく。
1人でも食べられるようにゼリーや冷凍食品を多めに買っておいた。
「元貴、何か食べれそう?薬だけじゃなくてご飯もお腹に入れといた方がいいし、」
「…んー、さ”っぱり”した感じのも”のだとうれじい”…」
「わかった、りんごはどう?」
「りん”ご食べたい”……」
こんな元貴珍しい。
いつもはおちゃらけてるところもある。なのに自分のことは自分自身で解決する、責任感も強い。意外と堅実で真面目な人だからなぁ…
元貴に頼られてるのが嬉しくなる。これくらいのわがままいつも言ってくれていいのに。
「はい。できたよ元貴」
「ありがど…」
りんごが乗った皿をもってベッドの傍まで移動する。元貴がゆっくりと上半身だけを起こした。
「あ、う”さちゃん”りんごだ…」
「そうだよ、可愛いでしょ」
「うん”…すごい、笑やっぱ器用だね”」
フォークをりんごに刺して元貴の口元まで持っていく。すると元貴の顔がみるみる赤くなっていった。
「…い、い”や…自分で食べれ”るよ”…//」
「いやいや、こんぐらいはさせてよ。看病しに来たんだし…」
元貴が戸惑う素振りを見せながらもおずおずとゆっくり口を開いた。
「お、おい”しい…」
「久しぶりに”ご飯食べだかも”、」
「えぇ…そんなことある…?」
1口食べるとお腹が減ったのかパクパク食べてくれてあっという間にお皿は空になった。
「もっと食べる?」
「いや”大丈夫…ありがどう…」
お皿をサイドテーブルに置くと元貴が俺の服の袖を遠慮がちにちょいと引っ張った。
「ん?どうしたの」
元貴は頬を紅潮させながら手をいじいじして何かを言いたそうにしている。
「あ、あのざ…こんな”ときに聞ぐことじゃな”いとは”思うんだけど…」
「…うん…?」
「こ、こない”ださ…俺の家で飲んだ時…話したや”つ…覚えでる…?」
「…あー…」
多分、セフレの話だろう。元貴は気まずそうに、でも恥ずかしそうに俯いていた。
「…うん、まぁ…忘れられはしないよね、」
「…う”ぅやっぱそう”だよ”なぁ…」
元貴が恥ずかしそうに顔を手で覆った。
「いや、あのさ…その、元貴のいうセフレ…って…本気なの、?」
手の隙間から、ちらりと覗かせた元貴の目がうるうるしている。
すぐに目を逸らされ、少しの沈黙が訪れた。
数十秒後、元貴が決心したように口を開いた。
「うん”…、//俺は…本気…です、」
やっぱそうなんだ…。俺は言うか迷っていた、ずっと考えてたことを聞いてみることにした。
「……あのさ…確認なんだけど…」
「元貴は…俺のこと恋愛的な意味で…好き…、なんだよ、ね?」
「ぁ…//は、はい”…」
「俺が言うのはおかしいってわかってるんだけどさ…」
「…?//」
「好きなのに…セフレでいいの、?」
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