テラーノベル
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ブラッドウルフ討伐から数日後。
ギルドの大広間は、噂話でざわついていた。
「おい聞いたか? 新人パーティが、群れごと仕留めたらしいぜ」
「バカな、Dランクになったばかりだろ」
「でも実際に依頼達成の報告が……」
ひそひそ声が飛び交い、ユウたちの視線を集めていた。
受付嬢が困ったように微笑む。
「皆さん、すっかり有名人ですよ」
リオが照れくさそうに頭を掻く。
「まぁな! 当然だろ!」
ミラは小さくため息をつく。
「目立ちすぎるのも考えものね……」
ユウは表情を変えず、静かに周囲を観察していた。
(……賞賛だけではない。敵意を含んだ視線もあるな)
夜。ギルドを出たユウたちを、背後から冷たい声が呼び止めた。
「おい、お前らが噂の新人か」
振り返ると、鎧に身を包んだ男たちが数人。
腕にはCランクの冒険者の証。
リオが眉をひそめる。
「何だよ、用か?」
リーダー格の男が薄く笑った。
「俺たちが三ヶ月かけても仕留められなかった依頼を……Dランクのガキどもが片づけた? ふざけるな」
ミラがすぐに短剣へ手を伸ばした。
「……嫌な予感しかしないわね」
レオンが不安そうにユウを見る。
「どうする?」
ユウは一歩前に出て、淡々と答えた。
「依頼を果たしたのは事実だ。気に食わないなら、剣で証明すればいい」
男たちが顔を歪め、抜剣する。
「言ったな……後悔させてやる!」
月明かりの下、狭い裏路地で戦闘が始まった。
リオが盾を構えて仲間を守る。
「ユウ、後ろは任せろ!」
ミラが影のように走り、相手の剣の隙を狙う。
「足元がお留守よ!」
レオンは詠唱を急ぐ。
「《ライト・フラッシュ》!」
閃光が走り、相手の視界を奪った。
その一瞬でユウが踏み込む。
「遅い」
鋭い斬撃で相手の剣を弾き飛ばし、喉元へ刃を突きつける。
静寂。
ユウが低く告げる。
「次は斬る。……引け」
敵冒険者たちは悔しげに舌打ちし、撤退していった。
戦いが終わった後、ミラが苛立ち混じりに言う。
「やっぱりね。あいつら、最初から妬んでたのよ」
リオも怒りを隠さず吐き捨てる。
「クソが……同業を襲うなんて冒険者失格だろ!」
だがレオンは顔を青ざめさせていた。
「……これは偶然じゃない。誰かが裏で仕向けている」
ユウが鋭く目を細める。
「……ギルドの内部、か」
冒険者ギルドは表向きは中立を保つ組織。
だが各国の思惑が絡み、裏では利権や権力争いが渦巻いているという噂は絶えなかった。
ユウは空を見上げる。
(剣の道を歩むつもりが……人の陰謀に巻き込まれるか)
胸の奥に、小さな不快感が残った。
その夜、ギルドの奥深く。
とある部屋で密談が行われていた。
「ユウ……あの少年か」
「はい、ブラッドウルフを討伐したと。力は本物かと」
「ならば……利用できる。あるいは、消すべきだな」
燭台の明かりに浮かぶ影が、不気味に笑った。
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