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耀聖(ようせい)
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𝒩𝑜𝒶 𑁍𓏸𓈒
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設楽理沙
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夜が嫌いだ
人の顔が、見えなくなるから。
この街では、夜になると人が死ぬ
それは罪ではない。
むしろ――美徳だった。
弱い者は殺される。強い者が生き残る。
生き残った者が正しい。
それが、この世界の決まりだった。
だから私は今夜、ひとりの女を殺しに来た。
名前は、夜華。
二十五歳。
とても美しく誰もが羨む美貌を持ち怪しい
雰囲気の女であり、
私が、ずっと憎んでいる女。
そして――私が、ずっと愛している女。
古びた教会の扉を開ける
中には、誰もいない
そう思った。
けれど、祭壇の前に一人だけ立っていた。
長い黒髪。
月明かりに照らされた横顔。
夜華だった。
夜華
「……来たのね」
振り返りもしない。
まるで、私が来ることを最初から知っていたみたいに。
「夜華」
私は腰の短刀に手をかけた。
「殺しに来た」
夜華は、ゆっくり振り返り
そして笑った。
夜華
「知ってる」
その顔が、昔と何も変わっていないことが腹立たしかった。
「逃げないの?」
夜華
「逃げたら、あなたが悲しむでしょう?」
「……ふざけないで」
夜華
「ふざけてなんかいないわ」
私は短刀を抜いた。
刃が、月明かりを反射する。
「殺すよ」
夜華
「ええ」
夜華は一歩も動かなかった。
夜華
「殺せばいいわ」
「……本気?」
夜華
「本気よ」
この世界では、殺すことが正しい。
私たちは、そう教えられてきた。
それがこの世界の「約束(ルール)」
二人で生き残ることは許されない。
最後に立っているのは、一人だけ。
だから私は、夜華を殺す。
そのために、ここへ来た。
「緋薔薇」
名前を呼ばれた。
それだけで、手が止まった。
夜華が近づいてくる。
緋薔薇
「来ないで」
夜華
「どうして?」
緋薔薇
「……殺せなくなる」
自分で言ってから、気づいた。
私は夜華を殺したい。
なのに――
夜華に、私を見ていてほしい。
憎んでほしい。
愛してほしい。
矛盾した赤黒い感情が、胸の中で絡み合う
夜華の指が、私の頬に触れた。
夜華
「あなた、本当に私を殺せる?」
緋薔薇
「……嫌い」
私はその手を振り払った。
緋薔薇
「あなたなんか、大嫌い」
夜華は少しだけ目を細めた。
夜華
「そう」
そして、笑った。
夜華
「なら、もっと嫌いになって」
その言葉の意味が分からなかった。
分かりたくもなかった。
私は短刀を握り直す。
今度こそ、殺す。
そう思った。
けれど
夜華は、私の知らないところで。
もう一つの刃を握っていたのだ。
コメント
1件
はる。だわ。読んできた。 「♡♡♡に来た」「知ってる」の呼吸、めっちゃ好き。憎んでるのに愛してて、♡♡♡たいのに触れられて動けなくなる緋薔薇の心情、冒頭の「夜が嫌いだ、人の顔が見えなくなるから」に全部集約されてる感じがする。世界観の提示と心理描写のバランスが良くて、たった1話でもう胸がギュッてなったわ。 この後どう転ぶのか、続きが気になって仕方ない🔥