「おお、冥界とはこんなところなのですね。桜がきれいです。」
私はこの冥界の桜に見とれてしまった。
とてもきれいだ。
「そう言えばさとり妖怪がなぜこちらの方に?」
妖夢さんが質問を投げかけてくる。
「まあ、色々ありまして……」
私はそっけない返事を返した。
妖夢さんはずっと前を向いて話す。
「着きました。亡霊が暴れていた場所です。亡霊と言っても……人間の個体になっていましたね。」
「人間の個体に?そんな亡霊がいるんですね。」
妖夢さんも人間の個体をした亡霊がいるとは知らなかったようだ。
「えっと…その亡霊の見た目は髪の毛が茶色でフードを被っていました。幻想郷では見ない顔でした。」
妖夢さんが不安そうな顔をして行った。
妖夢さんは急に立ち止まると、周りをキョロキョロと見回している。
「あれ?ここで暴れていたはずなんですが…幽々子様もいませんし……」
妖夢さんは、焦ったように周りを見渡す。
いくら見渡したって亡霊は見当たらない。
「見当たりませんね。どこに行ったのでしょう。」
私もあたりを見回す…が、どこにも見当たらない。
「……その亡霊の能力は…力を操る程度の能力です。力の加減が調整できる能力でしょう。」
「力を操る程度の能力……つまり、弾幕の火力やスペルカードの力の加減を操ることができるのね。」
そうとなると、当たらなければどうってことないだろう。
「その人の弾幕は広範囲に弾幕を放つらしいです。実力も高いらしいです。」
「そうなんですね。そんな相手に私達は勝てるんですか?」
私は妖夢さんの目を見て言う。
妖夢さんは、バツが悪そうに目をそらした。
「……勝つ確率は低いでしょうね。でも相手の気をそらせれば勝てるかもしれません。」
妖夢さんは、顎に手を当てて答える。
「性格は…なんというか…ほんのりした感じですね。なんというか戦闘場なれしていない感じです。」
「戦闘場慣れしていない?そんな子が冥界の亡霊を?」
妖夢さんは、顔を曇らせて言う。
「それなんですよね。どうして冥界の魂たちを……」
妖夢さんは、うつむいていった。
「妖夢!」
この声には聞き覚えがあった。
「この声は…霊夢さん!」
妖夢さんが声がした方に走っていく。
「ここ、ホントに冥界?なんか、やけに暗いような……」
霊夢さんが姿を現す。
顔がこわばっている。
……何かの気配を感じた。
「あらら、も〜う余計に人増えちゃった。始末するのに時間かかっちゃうよ〜。まあ、高火力で押し切っちゃえばいいよね♪私達の計画を邪魔されちゃあまずいし。」
茶色の髪色にフードを被っている女の子……この異変の主犯者だ。
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