まだ、夏の暑い日のこと。蝉の鳴き声が、あたりをよりいっそう静けさに追い込む。そんな中、私は3年生の、ひんやりとした廊下で、ただたたずんでいた。
「………..」
私の上履きが、捨てられている。震える手で、ゴミ箱から拾う。何だか寒気がして、静かに唇を噛んだ。
悲しさと怒りと、諦め。そんな感情が、頭の中でぐるぐると渦巻いた。
でも、これは今はじまったことじゃない。
椅子に、接着剤が塗られてあった。ほかにも、お弁当に虫がはいっていたり、教材に、大量の罵詈雑言をかかれていた日もあった。
なんてことないって、思えば思う程辛くなって、苦しくなっていく。呼吸がしずらくなっていく。
「辛い」
言葉に出してみる。でも、それだけじゃやっぱり苦しいままで。
「やっぱり、だめだったよ。奈々ちゃん。」
私は彼女のいる方向に振り替える。
振り替えった先には、涙を流して叫んでいる少女が一人。透き通った夏の景色。踏切の音がしていた。
コメント
4件
少女レイのきょくにあっているストーリーでとてもすてきです!
上手いっ……羨ましい……