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第25話 〚作られる噂、試される心〛
翌日。
教室に入った瞬間、澪は違和感に気づいた。
――視線。
昨日よりも、
確実に多い。
机に鞄を置くと、
背後からひそひそ声が聞こえてくる。
「最近さ、白雪さん……」
「橘くんと仲良すぎじゃない?」
澪は、
何も聞こえていないふりをして席に座る。
(……気のせい)
そう思おうとしても、
胸がざわつく。
一方で、
りあは女子の輪の中心にいた。
「別に悪口じゃないよ?」
甘い声で、笑う。
「ただ、優等生二人と仲良いのって、
ちょっと不自然じゃない?」
周囲の女子は、
顔を見合わせる。
「……たしかに」
「なんで、白雪さんだけ?」
りあは、
心の中で笑った。
(ほら)
(勝手に広がる)
昼休み。
澪は放送室へ向かう途中、
廊下で立ち止まる。
頭に、
微かな痛み。
(……予知?)
けれど、
何も映らない。
それが、
逆に不安だった。
放送室では、
海翔が機材を準備していた。
「おはよう、澪」
その声に、
少しだけ救われる。
「……おはよう」
海翔は、
澪の様子を見て眉を寄せた。
「なんか、元気なくない?」
澪は、
一瞬迷ってから首を振る。
「大丈夫」
――大丈夫じゃないのに。
放送が終わり、
二人で廊下を歩いていると。
後ろから、
視線を感じた。
りあ。
澪と目が合うと、
にこっと笑う。
「白雪さん、放送お疲れさま」
声は、
とても優しい。
でも――
目は、笑っていなかった。
澪の胸が、
ぎゅっと締めつけられる。
(……来る)
確信だけが、
静かに残った。
放課後。
えま、しおり、みさとが
澪を囲む。
「最近、なんか言われてない?」
しおりが、低い声で聞く。
澪は、
少しだけ黙ってから答えた。
「……少し」
えまの目が、
一気に鋭くなる。
「誰」
「えま、落ち着いて」
みさとが止める。
澪は、
三人を見て微笑んだ。
「大丈夫。
まだ……耐えられる」
でも、
その言葉は震えていた。
教室の隅で、
りあはその様子を見ていた。
(仲間がいる?)
(……関係ない)
りあの中で、
決意が固まる。
――次は、
もっとはっきり。
この日。
澪はまだ知らない。
噂はもう、
クラスの半分に届いていることを。
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