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#婚約破棄
霞花怜
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どれだけ時間が経ったのだろう。頭上で打ち上がる花火の爆音すら、二人の世界を包み込む背景の雑音へと完全に消え去っていく。
重ねられた唇から割り込んでくるのは、熱く、どこまでも強引な舌。熱狂をそのまま流し込まれるように貪り尽くされ、喉の奥まで甘やかに塞がれてしまう。息をする猶予すら与えられない濃厚で深い口づけに、柊吾の思考は完全に白く染まりきっていた。
「……ん、ぁ……っ、ふ……」
ようやく瑞樹の唇が名残惜しそうに離れたとき、喉を鳴らして荒い息を吐き出す柊吾。過呼吸気味の吐息が熱く夜風に散り、その瞳は涙でトロトロに潤んで、熱と快感の余韻から焦点すらまともに合わない状態だ。
瑞樹の首元に夢中で回していた腕からはすっかり力が抜け、だらりと落ちていく。そのまま石段の上に崩れ落ちそうになった身体を、瑞樹の強靭な腕がすささと滑り込んできてキャッチし、滑り落ちないようしっかりと腰を抱きとめた。
「……っ、あ、……黒瀬、さん……っ」
立っていようと足に力を込めようとしても、膝がガクガクと震えてまるで力が入らない。
背筋からつま先まで駆け抜けた痺れるような快感と、腰の奥に重く残る強烈な余韻。体内を支配する熱があまりに凄まじく、ただ瑞樹の甚平の胸元をぎゅっと掴み、その身体にしがみつくのが精一杯の抵抗だった。
完全に腰を抜かしてすがりついてくる柊吾の様子に、瑞樹の口元が満足げに、そしてどこまでも甘く歪んでいく。
はだけた胸元から覗く白肌を露わにし、真っ赤な顔で呼吸を乱しながら自分を見上げてくる柊吾。そのあまりにも無防備な姿を見つめつつ、瑞樹はそっと顔を寄せ、熱い唇をその耳元へと押し当てた。
「……ふふ、凄く可愛い顔をしてますよ、柊吾さん」
耳朶を優しく撫でる熱い吐息と甘い囁きに、びくっと小さく肩を跳ねさせる柊吾。それだけで全身に鳥肌が立ち、体の奥がキュッと締め付けられるような感覚に襲われてしまう。
「……もう、自力で立つのも難しそうですね?」
どこまでも意地悪く、けれど甘い声音で情けない体態をからかわれたように感じ、柊吾は恥ずかしさのあまり瑞樹の胸元へと勢いよく顔を埋めた。
「……続きは家に帰ってから、ですね」
耳朶を掠める低く湿った声と、肌を焼くような熱い吐息。
腰を抱きすくめる瑞樹の強い腕にぐっと力がこもり、逃げ場を塞ぐように、けれど壊れ物を慈しむような密度でさらに強く引き寄せられる。
(あ……っ)
ただの意地悪や気まぐれなどではない。
服越しに伝わってくる瑞樹の激しい鼓動と、肌を焦がすほどの体温。自分を捉えて離さないその圧力から、瑞樹もまた、理性の限界ギリギリで自分を抱きとめているのだという事実が、痛いほど肌に伝わってきた。
「……っ……、あ……」
言い返そうと唇を微かに開くものの、熱く痺れた舌はまともな言葉を結んでくれない。
嫌だなんて拒絶の選択肢は最初からどこにも存在せず、何より自分自身が、瑞樹の手によって与えられる熱をもっと欲してしまっていた。
熱く沸騰した頭のまま、羞恥と期待で破裂しそうな顔を隠すように瑞樹の胸元へおでこを押し付け、小さく、コクコクと頷くのが精一杯だった。
コメント
3件
このラブラブ空間ッ!!泣けます!!💪💪(( マジで外という誰かに見られら…という不安も抱きつつちゃんとイチャイチャしている、このシーンが一番好きかもしれません((しかも花火に照らされているんですよ!?!尊いとい言葉しか出てこないー!!( ;∀;)
うわあ、もう…この二人の空気感がたまらないね。柊吾が完全に蕩けてるの、瑞樹さんが余裕そうでいて実は理性ギリギリなのが伝わってくる描写がめちゃくちゃ刺さった。花火の音が二人の世界の背景音になってる演出もすごく好き。続きが気になる~!