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#婚約破棄
霞花怜
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そんな愛おしい反応を確かめた瑞樹は、逃げられないように抱きしめる腕の力をぐっと強めると、耳元に顔を寄せて低く甘く囁いた。
「……そんな可愛い顔で素直に頷かれたら、俺の理性が持ちそうにないんですが。……正直、今すぐにこの場で襲ってしまいたい」
「……っ!?」
あまりにもストレートで剥き出しな言葉に、柊吾はカッと顔を火照らせ、反論の言葉すら喉に詰まらせてしまう。
(今、なんかすごいこと言われなかったか!? 襲うって……ここで!? いやいやいや、そんな馬鹿な。境内の裏だよ? 確かに雑木林の方にはなんだかいかがわしい雰囲気が漂ってるけど……まさか、そんな!?)
チラリと見上げる瑞樹の横顔は、夜風に髪をなびかせて相変わらず涼しげで上品に見える。それなのに口から飛び出す言葉はあまりにも破廉恥で、危険な色香を孕んでいた。
(もしかしてこの人、ものすごいむっつりスケベなのでは……!? ていうか『そんな顔』ってどんな顔!? 今の僕、そんなに情けないトロ顔で瑞樹さんに見られてるんだ……っ!?)
恥ずかしさが限界突破し、柊吾は両手で自分の顔をごしごしと擦りながら、必死に赤面を隠そうと顔を覆う。けれど、熱を持った掌では火照りきった顔を冷ますことなどできるはずもなく、ただの無意味な悪あがきにしかならない。どころか、熱い吐息が自分の手に跳ね返ってきて、余計に息苦しくなってしまうだけだ。
(無理無理無理、恥ずかしすぎて死ぬ……っ!!)
このまま本当に雑木林の奥、静まり返った木々の陰へと引っ張り込まれて野外で……なんて、ありとあらゆる破廉恥なシチュエーションが高画質で脳内再生され、完全にキャパオーバーを起こしかける。
(いやいやいやっ、いくらなんでもそれは無理無理無理! でも『理性が持ちそうにない』って……えっ、じゃあどうするの!? ここで野外プレイ!? それとも、まさかこのまま立ちバックとか……っ!?)
妄想が暴走すればするほど、腰の奥がズキズキと甘く痛み、息が荒くなっていく。一人脳内会議で発狂しそうになっている柊吾の様子を愉しむように見つめ、瑞樹は満足げに喉を鳴らして低く笑った。
そっと伸ばされた瑞樹の指先が、顔を覆う柊吾の細い手首を捉え、ゆっくりと引き剥がしていく。露わになった柊吾の顔は、涙目でトロトロに蕩け、真っ赤に染まった酷く濡れっぽい表情をしていた。それを見つめる瑞樹の瞳には、すでに理性のタガが外れかかっている男の危険な熱がはっきりと宿っている。
「……これ以上いじめると、本当に歩けなくなってしまいそうですね。……おとなしく帰りましょうか」
「あ……、っ……」
安堵と、どこか期待を裏切られたような寂しさが混ざり合い、柊吾は情けない声を漏らしてしまう。瑞樹はそんな柊吾の反応すら愛おしそうに見つめると、繋いだ手にぐっと力を込めた。
拒否する隙など微塵も与えない強さで握り締められた手。指先からダイレクトに伝わってくる瑞樹の激しい体温と鼓動に煽られるようにして、二人はフィナーレを迎える花火の爆音とお祭りの喧騒を背に置き去りにし、静まり返った夜の闇へと足を踏み出した。
コメント
3件
わあ!!!最後!!!最後!!! 最後期待(私の勝手な思い込み🙇♀️)させておいてお預け〜!!! この焦らし感がまたまたいいんですよねぇ♡ しかも!!柊吾様のあの妄想した後だからなおさらで〜♡もうマジヤバいです (語彙力なくしてしまってすみませんッ!!)
かんなさん、こんばんは🌙 第66話、拝読しました…っ。 もう、もう、瑞樹さんの低く甘く囁く感じが、破壊力やばすぎました…!「理性が持ちそうにない」って、あんなストレートに言われたら柊吾くんじゃなくてもキャパオーバーですよ…。でもそれに翻弄されて、脳内会議で発狂しそうになりながらも、期待と寂しさが混ざっちゃう柊吾くんの心情、めちゃくちゃ可愛くて切なかったです。 そして「おとなしく帰りましょうか」で手をぎゅっと握って、夜の闇へ連れていく瑞樹さん…もう、続きが気になりすぎて今夜眠れません…!🥀 素敵なシーンをありがとうございます、次話も楽しみにしてますね🤍