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「おーい傑〜〜!そっち日陰? 日向こっち空いてるぞ〜!」
「うるさい、悟。少し静かにしてくれ」
夏の海。
太陽は眩しく、波音は心地よく、友人たちは水着姿ではしゃいでいる──はずなのに。
夏油傑はというと、タオルを肩にかけ、
サングラスまでつけてなぜか目線を逸らしていた。
視線の先には──
彼女がいた。
思っていた以上にビキニが似合っていて、可愛くて綺麗で、スタイルも良くて……。
(……ちょっと待て、落ち着け私……。見るな、見ないほうがいい)
見たら最後、反応する。
そういう意味で。
「傑〜、なんでさっきからそんな顔赤いの?」
「悟……あまり話しかけるな、頼むから……」
「ん〜? もしかして……見ちゃった?」
「……水着姿が、予想以上に……、というか、その、目のやり場に困ってるだけだ」
「はっはーん、なるほどね〜〜」
「……悟、真顔で聞いてくれ。真面目な話だ。あまりまじまじ見てしまうと、私の下半身が反応しそうなんだ。だから、これ以上、視界に入れるのが困難なんだよ」
「……ぷっ、あっはっはっはっ!! 傑ぅぅぅ〜〜〜マジで言ってる?!?!」
「……笑うな。切実なんだ。これは男としての尊厳に関わる」
「いやでもその言い方がもう無理、尊厳どこ行ったの、傑〜〜最高〜〜!好きすぎる〜〜〜〜」
「……私は真剣なんだが……!」
悟は腹を抱えて笑い転げていたが、
やがてふいに、にやっと悪い顔になって言った。
「じゃあさ、今度はこっち見てる間に、彼女がさらに上着脱いだらどうする?」
「……やめろ」
「そのとき傑が“そっちの海”に溺れたら、僕ちゃん一生からかうよ?」
「ほんとにやめろ」
「じゃあ、彼女が戻ってくる前にちょっと冷水でも浴びとく? 下半身だけ」
「悟」
「はいはいはい、わかったごめんごめんって、ほんと傑が恋するとおもしろすぎるんだよなぁ〜〜」
「……これ以上笑ったら、海に沈める」
それでも時々、サングラス越しに彼女のほうをチラッと見てしまう傑。
悟はそんな彼の挙動をずーっと観察しては、
「今見たな!?な!?」と隣でニヤニヤしてるのでした。