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次の日の朝。今日は土曜日で学校も休みの日だ。でも、これから入院らしくて学校に行けないのが残念だった。病室で1人ため息をついていると、ドタドタと廊下を走り回る音が聞こえた。
「優明!!!」
バンッッというけたたましい音と共に扉が勢いよく開いた。誰、?こんな朝に騒がしいなとか思っていたら、はあはあと息切れしながらそこに立っているのは愛菜だった。
「もう心配したよー!」
涙ながらに心配してくれる姿を見て、私も涙が出そうになったがこらえた。
「来てくれてありがと笑」
照れくさそうに笑っている自分を見て愛菜は私に思いっきりハグをしてくれた。温かかった。
「うぅ⋯苦しいよー笑」
苦しかった、確かに苦しかったけど私は愛菜が私を思ってわざわざ走ってきてくれたのが嬉しくてそんなのどうでもよかった。
「また元気になって、一緒に遊ぼうね!!」
「うん、」
私は何故か、その勇気づける一言に元気よく返すことが出来なかった。そう、昨日の医師の一言が引っかかったのだ。
『最善を尽くします。』
まるで、解決策がないかのような助からないような一言。私はそれがずっと頭の中に残っていた。
ピロンピロン ピロンピロン
愛菜のスマホが鳴る。
「スマホ、鳴ってるよ?」
「あっ、ホントだ」
慌ただしくスマホを開く愛菜をただ見つめた。
「もしもし?お母さん?」
電話相手はお母さんのようだ。
「ちょっと、愛菜?今どこにいるの?早く家に帰らないと置いていくぞってお父さんカンカンに怒ってるわよ、」
「うんー!今から帰るね!」
恐る恐る聞いてみる。
「どこか、行く予定あったの?」
「うん!実はそうなんだよねー、」
自分の目の前の予定を潰しそうになっているのに来てくれる感じが私からしたらとても嬉しかった。
「どこに行くの?」
興味本位で聞いてみた。
「からあげミュージアム!!そこにはね、色んなからあげがあるんだー!」
「へ、へぇー。楽しんでね!」
聞いたことも無い施設だけどこの前話していたこともあるしそっとしておこうと思った。
「それじゃ、バイビー!」
元気よく部屋の中を出ていく愛菜。
愛菜が居なくなると自分が今いる空間がとても静かに思えた。