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「喉が痙攣を浮わつかせてるそうだね。大丈夫?」
そう放って顔の上に苛立たしげな曇りが露になる君を見て今日も一息つく。
「大丈夫そうだっ…と」
そう独り言を紡ぎながら手元のボードに記述を残す。砂利の様な私のガラガラ声が君には蠅の羽音に似ている様に聞こえるのだろうか、ただでさえ濃いシワが余計に濃くなる。実に不快だと言わんばかりに焼き付く様な焦慮を、赴きに来ているのではないのかと感じる程に君は私を睨む。
「_また貴方か。」
窒息しかけで苦しんでいるように顔が赤い彼女は静かに言葉を投げ掛ける。
会話のキャッチボールを怠る事が多い彼女には珍しい事だった。現に私も拍手を送りたくなるくらい呆れて感心していた。
「君が私にこうやって話し掛けるなんて珍しいね、何か悪巧みでもしているのかい?」
下に下らないような、言葉を此方からは投げたのだがこれまた珍しい事に彼女は、割り込みされても怒らない、心が裕福な金持ちの様に其れを受け流して見せた。
此方から見るとただの痩せ我慢に見えたけれど…。
絵の具で塗ったような見事な紅葉がしきりに注ぐ窓の外と同じ様に此方はゆったりとした流れは燗してなかった、夕日が硝子に乱反射して思わず目を背ける。其れに似た感覚。
「駄目だよ、帰りなさい」家庭に関係のない大人からは生憎仲裁を値切る事しか出来ないのである、其れが幾ら彼女の胸を抉ったかは想像に堅くない。だからこそ情けなく犠牲を関して迄も私は其れを紡ぎ続ける。彼女がどれ程辛いのかなぞ目に見えているが一時だ。と彼女を叱責するのではなく受け入れ、しかし駄目というのは駄目と言おう。
優しさとは、”少なくとも”そういうものだろう…?
「どうせ其れが数多ある欲望の最大公約数とでもいうんでしょ。おじさん。」
_嗚呼まだこの話は、君には早かったか。そうぼんやりと感じながら私は今日も自身の胸を抉る。