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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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おれたちは港を出てすぐ近くだったはずの魔法ギルドを探している。しかし、どこを歩き回ってもギルドらしき建物が見つからない。


「イスティさま。さっきから何を探しているの?」

「フィーサは覚えてるよな? この辺でバヴァルに声をかけられて、一緒に魔法ギルドに行ったことを」

「わらわはイスティさまの背中越しだったはずなの。その状態ではさすがに場所までは知らないなの」

「むぅ……」


かれこれ一時間くらい歩き続けているな。それほど広くも無い港町で迷うことも無いのに、記憶に自信が無くなりそうだ。おまけに意外と人の往来が激しく声をかけられそうにない。魔法国レザンスと言っても国の中心部がどこなのか。


「アック。人間に聞かないのか? この先、人間たくさんいる。魔力も感じる!」

「ん? 魔力感知も出来るのか」

「ウニャ! 怪しい小屋たくさんある! そこにたくさんいるのだ」


おれは魔物サーチとスキャンのスキルは習得済み。しかし魔力感知に関しては覚えていない。だがここにきてシーニャの成長ぶりに驚くばかりだ。


「この辺か……?」


シーニャの言う魔力気配の所に進むと、確かに複数の居住らしき建物が見える。ギルドが建ち並ぶ区画のようにも思えるが、港周辺と雰囲気がまるで異なっていて様子がおかしい。まるで別世界に迷い込んだような感じだ。


うっそうと生い茂る木々が家々の屋根を守るように覆い、近寄りがたい雰囲気をかもし出している。


「アック、ここだぞ! ここに魔力持つ人間、たくさんいるぞ」

「歩いている人の姿が見えないな……」


街の賑わいとは程遠く、この辺りは人の往来が全く無い。


「イスティさま。この先から強い気配!」

「この先? ただの巨木がひっそりとそびえているだけ……む? 人が集まっているな。そこで聞いてみるか」


何とも不思議な国だ。


港や市場には賑やかさがあって旅の者を自由に受け入れている感じがするのに、区画に立ち入った途端に別世界に思える光景が広がっているなんて。あの時おれが案内された魔法ギルドは一体何だったのか。


「すみません、聞きたいことが~」


巨木の所に老齢の魔術師らしき人たちが立ち話をしている。

早速彼らに声をかけてみたが、


おれが声をかけると同時に会話が途絶え、何やら不穏な気配が漂い始めた。話しかけただけなのに今にも攻撃されそうな気配だ。


「何用か? 獣人を連れて立ち入るなどと!!」


どうやらシーニャを連れていたことで警戒されたらしい。ここで攻撃されるのは不本意なので、シーニャを後ろに下がらせた。


「え~と、魔法ギルドを探しているのですが、レザンスのギルドはどちらにありますか?」

「……ここには無い」

「え、そんなバカな! ……では、ギルドマスターのような方は?」

「存在せぬ」


ギルドが存在しない?


そんなことあるわけが……。


港で一番初めに声をかけられ、おれはバヴァルという者に連れられてギルドらしき建物に入った。


ギルドが無いならあそこは一体……?


建物自体かなり寂れていたと記憶しているが、まさか全て幻か。


「し、しかし、ここを初めて訪れた時に魔法ギルドに案内されて……」

「……バヴァル・リブレイにか?」

「――! え、ご存じですか?」


あっさりとバヴァルの名前が出てきたものだ。


老齢な魔術師たちは互いに顔を見合わせ、いぶかしげな表情を見せている。バヴァルはギルドマスターでも無ければ、この国の人間でも無かったということなのだろうか。


「あの女こそが、ギルドを失くした張本人魔女《ウィッチ》であり、囁く者《ウィスパー》」


魔女?


ウィスパー?


「失くした? では何かが起きたとかですか?」

「その先が聞きたくば魔法の実力を見せてもらう。真実は魔法が答えてくれるだろう……」


ギルドの行方を知りたかっただけが何故こうなるんだ。しかし、バヴァルがしたことがこの国に災厄をもたらしたとすれば一時的に弟子として動いていた責任としてやるしかなさそうだな。


「ウウウウー! アック、戦う? 戦うのか?」

「シーニャは下がって見ているだけでいい。動いたら駄目だぞ」

「……ウニャ」

Sランクパーティーから追放されたけど、ガチャ【レア確定】スキルが覚醒したので 、好き勝手に生きます!

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