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暗い牢屋のような場所で彼女は手足や体を四方八方から来る紐に縛られており、仰向けの状態で倒れていた。意識はどうやらなさそうだった。


「…お前、癒姫華に何しやがった。彼女に何をしたんだ」

今まで感じたことのない怒りが頭の中を走る。

最悪だ。なんで、癒姫華が。それに、守れなかった。

「そう怒るなってアリン。ただ俺はこの子に餌になってもらっただけさ。お前を呼ぶための“材料”に使っただけだよ」そう何気なく、当たり前のように言う国王。

「別に俺だったら呼ばれたらここに来た。それにお前なんて言った?彼女を餌、材料呼ばわり?いい加減殺すぞ────」俺は今まで生きてきた中で一番冷たく睨み、言い放った。

「いやいや、それがね〜君に手が出せないようになってるんだよね〜。だからこの子に材料になってもらったわけ」軽く、軽快に言う国王は俺にとって最悪だった。殺したい。

「それに、アリン。私のことは殺せないだろ?お前が“ギフテッド”と呼ばれる天才だってことは知ってるがそれと同時にお前のその知能が落ちてることも知ってる」…っ、ここまで、誰かに殺意を抱いたことはないだろう。


でも、きっとこの殺意は、癒姫華を悲しませてしまうんだろうな、、だけど

「俺はお前がしたことを絶対に赦さない。そして今すぐ彼女を返してもらう」

「え〜どうしよっかなぁ。あの子気に入ったんだよね。素直に言うこと聞いて縛られてくれるんだもん」こいつ…道徳心のカケラもねーな。

「…それ以上彼女のことを何か口に出してみろ。どうなっても知らねーぞ」

「んー、まぁ、いいや。とりあえずさ俺の話聞いてくんね?


誰がお前の話なんか聞くか、そう言おうとしていたがその言葉と同時にそいつの表情は真剣になった。じっ、と俺を見据えて、ゆっくりと語り始めた。

────この時俺はそいつの“魔法”とやらに縛られ嫌でも聞かされることとなった。


シウルの秘密祖母サリアの真実を。

時計の名前は“シウル”

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