「よわき君だけはっ、逃げて!!」
僕はあの光景を忘れられないでいる。火でボロボロになっているパチオ先輩、火の中で泣いている子供達。
僕は…一人生き残った。
僕が目覚めたのは警察署。
最初に声を掛けてくれたのは、同居人のエビス先輩だった。
「大丈夫?…じゃないよね…ごめん」
泣いている僕を見て心配してくれたのだが、事情を聞いていたのか謝る。
「いや…大丈夫です、先輩が謝ってどうするんですか」
僕は何とかして少しでも気を明るくしようと頑張ったが、すぐに涙目になる。
そんな僕を先輩は「大丈夫」と言い抱きしめてくれた。
事件が起こったのはデート中に行ったサーカス会場。どうしても先輩が行きたいと言っていたのでしかたなくついてきた。
「見て、よわき君!!」
目をキラキラさせながら僕の手を引っ張る。
「はしゃぎ過ぎですよ〜!」
そういう僕も、心の中では浮かれてたのかもしれない。
中に入ると、沢山の人が座って今か今かと待っていた。僕達も席に座り待っていた。
数分後、仮面を付けたスタッフがステージの真ん中にたった。
『レディス&ジェントルメ〜ン』
『皆様、大変お待たせしました。今宵の宴を始めましょう』
最初は、玉乗りピエロのジャグリング、空中ブランコ等。迫力が凄く、圧倒された。
次に、動物を使ったショー。大きな象やライオン、猿や、ウサギなど、たくさんの種類のパフォーマンスを見せてくれた。
こんな楽しい時間もあっという間に過ぎ、遂に最終パフォーマンスになった。
「さぁ、これが最終パフォーマンスです」
司会の人がステージに観客を呼ぶ。
その後、ステージに呼ばれた観客は目隠しをされ、座らされた。
「え、なんですか…アレ」
僕は異変を感じ、席を立ち上がった。
その瞬間、ステージに呼ばれた観客の周りだけ不自然に燃え始めた。
僕は、怖く足を震わせながらその場に立つことしか出来なかった。
「よわき君は逃げて」
隣に座って居たパチ先が言った。
今にも会場は燃えようとしている、早くしないとテントごと火の海になる。
「で、でもパチ先が…」
パチ先は僕の手を握り、「大丈夫だよ、僕は強いからね」と言い、ステージに走って行った。
僕は周りの観客を素早く出口に送り込んだ。
僕も逃げようとして、後ろを振り返った時、ステージは黒煙がかかっていて見えなかったが人影が見えた気がする。
その後、燃えたサーカステントを見に行くと、気を失ったパチ先が病院に運ばれていくのが見えた。さらに、そのサーカスを調べると『人間を使ったショー』が問題になったのか、ページが消されていた。
「パチ先…起きてくださいよグス」
この事件の後、パチ先が起きてくる事は無かったとさ~~~。
コメント
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続きが消えていたので追加しました。 これでこの話は以上です。 次からは平和にして行きます