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ゆゆゆゆ
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ゆゆゆゆ
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部屋は静かだった。
風もない。
足音もない。
「……」
ベッドに座ったまま、ぼんやりと考える。
缶詰でも、腹は満たせる。
あの焦げたピザでも、悪くはなかった。
でも――
「……違ぇんだよな」
小さく呟く。
頭に浮かぶのは、昔の記憶。
はっきりしない。
顔も、名前も出てこない。
でも。
トマトの赤。
焼けた生地の匂い。
バジルの香り。
それだけは、やけに鮮明だ。
「……」
あれを。
もう一度。
作りたい。
「……あいつにも」
ぽつりと出る。
ノスフェラトゥ。
あの無表情が、どう変わるのか。
少しだけ、見てみたい。
「……」
立ち上がる。
もう、ふらつきはない。
体力も戻っている。
「昼なら……」
ルナティックも、夜ほど活発じゃない。
あいつも、多分寝てる。
今なら。
「……行けるな」
ショットガンを取る。
弾を確認。
ナイフも腰に差す。
動きは、もう完全に慣れている。
「……」
一瞬、止まる。
部屋の奥。
ノスフェラトゥがいた場所を見る。
「……」
何も言わない。
言う必要もない。
勝手に出るだけだ。
「……すぐ戻る」
小さく、誰にでもなく言う。
扉を開ける。
外の空気。
昼の光。
荒廃した世界は、相変わらずだ。
「……」
一歩、踏み出す。
土の匂い。
乾いた風。
遠くで何かが崩れる音。
「……久々だな、こういうの」
ひとりで出るのは。
少しだけ、軽い。
少しだけ――
心細い。
「……」
歩き出す。
目的は、はっきりしている。
トマト。
バジル。
種でもいい。
何か、育てられるもの。
「……」
廃墟の街。
崩れた看板。
朽ちた店。
その中に――
まだ残っているものがあるはずだ。
「……」
銃を軽く構える。
警戒は、忘れない。
でも。
今日は少し違う。
「……」
戦うためじゃない。
奪うためでもない。
ただ――
「作るために来た」
小さく言う。
その言葉は、この世界には似合わない。
でも。
確かに、自分の中にある。
「……」
風が吹く。
どこかから、かすかに緑の匂いがする。
「……」
顔を上げる。
「……あるかもな」
わずかに口角が上がる。
そして――
その匂いの方へ、足を進めた。