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AIとロボ 工事中
「・・・うん、これを運んでしまえばお終いだね」
「はい、後は花壇担当の仕事が終わるまで薪割りをしましょう」
さっさと仕事を終わらせてしまったナックとフェネスは、切り倒した木を運び出し、最近後回しになっていた薪割りをすることにした。
斧で木をパコン、パコン、とリズミカルに割っていく作業は無心になれて良い。
2人はまた黙々と作業に取り組んでいた。
その頃、花壇に警報機を置くための場所を作っている4人は、アモンの指示で木の植え替えをしていた。
「ボスキさん、植え替える花壇に穴を掘ってくださいっす」
「はいはい・・・結構深くて良いんだよな?」
「そうっすね!お願いしますっす!
じゃあ、ハウレスさんは物置から砂利の袋を持ってきてもらいたいっす」
「わかった、1つでいいか?」
「はい、1つで足りるはずっす!
そしたら・・・ラムリ、この木の周りを掘っていくっすよ〜」
「は〜い・・・」
そんなこんなで植え替えを無事に終えることができ、後はロボが材料を集めてファクトリーAIが装置を作ってくれるのを待つだけとなった。
ひゅーー
がっちゃん!
[あ、ロボットさんおかえりなさい]
ファクトリーAIは、いつものように天井から落下して帰還したロボットを出迎え、目当ての材料が手に入ったことを確認した。
[それでは、お屋敷のセキュリティアップ用の機器を仕上げてしまいましょう!]
〈ぴょん〉
[ロボットさん、転送装置に入れているので、全部あるか確認していってくれますか?]
ロボは転送装置の中の荷物入れを開けた。
[いいですか?
まず、センサーが20個・・・はい、ありますね。
センサー用のコード・・・青い紐で纏めているコードですね、それが40本・・・
警報装置が1つ・・・
バッテリーと発電装置もありますか?
スピーカーが6つ・・・
スピーカー用のアンテナとバッテリーが6つずつ・・・
はい、これで全部です]
〈拍手〉
[ふっふっふ・・・これでトリコちゃんに危害を加える不届き者は、お屋敷に入れませんからね!]
どやぁ、という表情でファクトリーAIはロボに言う。
そして、ハッとした表情を浮かべ、ロボをまた呼び寄せた。
[そうそう、忘れるところでした・・・
ロボットさん、前にお屋敷に私の分身となるモニターを設置するってお話したのを覚えていますか?
そのモニターの材料もちょうど集まっていたので、ついでに持っていってもらいたいんです]
〈!!〉
[・・・まぁ、分身と言っても私の顔と声をミラーリングするだけなので、カメラとマイクを通してしか私はお屋敷のことを知ることができないのですが・・・]
〈がくっ〉
[あ、いえ、でも元々動けないですし、あんまり変わらないかもしれませんね・・・お屋敷ではクラフト機能は使えないので、作った物はロボットさんに運んでもらわなくてはいけませんし・・・]
〈・・・〉
[う〜ん、まぁ、無いよりは良いはずですから、あまり深く考えないでも良いですよね!
さぁ、ロボットさん、トリコちゃんの安全のために早く設置しましょう!]
〈ぴょん〉
ガガガがガガガッ
バシュ――――ン
転送装置で久しぶりに屋敷に戻ると、すでに設置場所の準備ができていたので、早速手の空いている執事達に装置を運んでもらい、工事に入った。
[ハウレスさんとラムリさんは、お屋敷の中とお庭にスピーカーを設置してください!
お屋敷の中は電波が届きやすいように、窓際の高い位置に設置してくださいね!
地下用のスピーカーだけアンテナが違うので気を付けてください!]
「分かった」
「は〜い」
[ナックさんとフェネスさんは、センサーの設置をお願いします!
倒れないようにしっかり固定をお願いしますね!]
「お任せください」
「頑張るよ」
[ロボットさん、アモンさん、ボスキさんは警報装置の設置をお願いします!
バッテリー、発電装置も設置してくださいね!]
「了解っす」
「おう」
〈ぴょん〉
設置・組立マニュアルを全員に渡し、作業が開始された。
スピーカーはどの部屋に居ても聞こえやすい位置かつ窓際という条件から、室長とナックを加えた5人で話し合って場所を決定していた。
早速1階から作業を始める。
細かい組み立てはハウレスが行い、最後の設置はラムリが梯子の上で行う。
「・・・ラムリ、頼む」
「ラジャーです!」
「おい、いきなり手を離すな!」
「大丈夫だって〜・・・ここに釘で留めれば良いんだよね?」
「そうだ、壊すなよ」
「分かってるって・・・」
センサーはナックとファクトリーAIが最初に決めていた通りに設置していく。
地面に半分埋まるような形で設置するため、赤外線センサーと振動センサーの2つで確実に侵入者を発見できるらしい。
「んっしょ・・・よし、これでやっと半分・・・」
「穴掘りはまた後にして、先にセンサーを設置してみませんか?」
「そうだね。・・・えっと、ここまで埋めて・・・」
「この杭で固定するのでしたね・・・」
案外重労働でため息が出るが、大事な主のため、2人は必死で体を動かした。
警報装置はファクトリーAIの指示の元、慎重に設置していく。
[アモンさん、バッテリーと発電装置をコードで繋いでください]
「了解っす・・・多くないっすか・・・」
[ボスキさん、バッテリーと警報装置をコードで繋いでください]
「分かった・・・あ?これどこのコードだよ・・・」
[ロボットさん、警報装置の初期設定をお願いします!
データをお渡ししているので大丈夫とは思いますが、複雑なので慎重にお願いしますね!]
〈ぴょん〉
複雑な構造の装置に苦戦しながら、何とか完成に向けて作業を進めていった。
完全に日が暮れて、星がまたたく頃。
ようやくすべての作業が終了し、先に抜けて風呂の用意をしてくれていたフェネスに礼を言って、疲れ切った執事たちが風呂になだれ込んだ。
『へねしゅ・・・』
その様子を見たトリコは深刻そうな顔でフェネスに声を掛けた。
「どうしたんですか?」
『なんれ、おふろしたらぁ、みんなぱんちゅなのぉ?』
「・・・は」
フェネスの脳内で、風呂上がりでパンツ一丁の執事たちが暴れ出した。
「主様・・・ベリアンさんとミヤジさんを呼んできていただけますか・・・?」
『?ぅん・・・』
トリコは目が笑っていないフェネスが怖かったらしく、急いで2人を呼びに行った。
『べりあ〜〜〜!!ぱぱぁ〜〜〜!!』
子供特有のよく通る高い声が屋敷に響き、ベリアンは食後の紅茶を放置して、ミヤジは髪が濡れたまま逃走していたラトを抱えたまま、1階の廊下に走ってきた。
「どうしたんだい、主様!」
「何があったんですか!?」
『ぁう、へねしゅがね・・・よんでって、そぇで・・・』
「そ、そうでしたか・・・」
「そうか・・・」
特に2人に用がないと知ったラトがトリコに話しかける。
「くふふ・・・トリコ、今日の夕飯は魚のパセリソテーだったね。あれは悪くありませんでした・・・
でも、パセリが少なすぎだと思わない?」
ラトは元々魚が埋まるほどパセリが載っている皿を出されていた。
それでもパセリが少ないと言うラトに困惑しながら、トリコは返事をした。
『ぇ、ん・・・ぱしぇり・・・トリコは、あれ、しゅき・・・』
「そうですか・・・なら、あれで我慢しましょうか・・・」
トリコは魚の臭みがいい具合に中和される程度のパセリで十分美味しかったので、これ以上はいらないと伝えた。
ラトは残念そうにしつつも、パセリの増量は諦めてくれたようだ。
「・・・あ、ベリアンさん、ミヤジさん
お話したいことが・・・」
脱衣所から出てきたフェネスがラトを見て固まる。
ラトは濡れた髪のまま、上半身は包帯のみだ。
「ラト!君まで・・・!」
「・・・もしかして、風呂上がりの格好についてかい?」
「はい、主様がさっき、『なんで、おふろしたら、みんなぱんつなの?』と仰っていて・・・
かなりの人数が風呂上がりに上半身裸で出てくるようで・・・マナー指導をお願いできませんか?」
「それはいけませんね・・・」
ベリアンとミヤジは眉を寄せる。
そこに、ボスキ、ハウレス、ラムリがタオル1枚で出てきた。
『あ、ぼしゅ・・・』
「見ちゃいけません!!」
ボスキに駆け寄ろうとしたトリコを捕獲したフェネスは食堂に駆け込む。
「・・・どうしてパンツすら履いていないのですか?」
「主様の前でそんな格好はダメじゃないかな?」
「あ〜・・・泥まみれだったから着替え取りに行く前に風呂入っちまって・・・」
「床汚したら掃除面倒だし、ナックがうるさいんだよね〜」
「すみません、着替えはいつもフェネスが用意してくれていたので・・・」
1名理由がおかしいが、3人纏めて説教を食らうことになった。
ちなみに、ナックとアモンは交代でシャワーを浴びていたため、タオル一枚で説教されている3人を見て、ドン引きしていたという。
その後、緊急用に下着と寝巻きの一式を脱衣所に置いておくことがルールに加えられた。