【吸血鬼】人の生き血を飲む魔物
民話や伝説に出てくる人物で、恐怖の対象とされている
そんな、吸血鬼に僕はなってしまったようです
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身体の異変が出たのは、なんでもない、ある日の事だった
与謝野 「敦、その歯はどうしたんだい?」
与謝野さんに言われ、僕は自分の歯をなぞるように触る
チクッ 前歯の近くに鋭い歯が生えていた
与謝野 「八重歯かい?」
敦 「八重歯?」
太宰 「犬歯が、両隣の歯よりも外側に飛び出した位置に生えている状態のことだよ」
敦 「へー、なんか吸血鬼みたいですね」
太宰 「欧米では吸血鬼の歯とされていて、中国だと、虎の歯なんていわれてるそうだよ」
敦 「、太宰さん詳しいですね」
太宰 「いや〜、何かの自殺に使いないかなっと」
敦 「使えるわけないじゃないですか!!」
太宰 「え〜」
敦 「え〜じゃないです!」
そんな僕たちの会話の流れを変えるように与謝野さんが喋り出す
与謝野 「にしても、八重歯にしては尖りすぎじゃないかい?」
敦 「え、そうなんですか?」
僕は再度歯に触れる
手に力を入れれば、指に赤い血が滲んだ
太宰 「、、ん〜ホントだ、八重歯にしては尖っているね、、本当に吸血鬼みたいだ」
敦 「え〜嫌ですよ?」
太宰 「そう?それに、あつs「「「太宰 !!」
太宰さんの言葉を遮って国木田さんの怒声が飛んだ
国木田さんの片手には太宰さんの苦情の始末書が握られていた
太宰 「国木田くーん!どうしたの?」
国木田 「どうしたもこうしたもあるか!!貴様の始末書がたんまりと溜まっているんだ!さっさと片付けろ」
太宰 「ヤダよ、めんどくさい」
国木田「ピキピキ💢💢」
太宰 「国木田くんがやってよー」
国木田 「貴様ーーー!!!いい加減にしろ!!!💢💢」
国木田さんの怒声とともに太宰さんは引きずられて行ってしまった
いつもの事だ、、、
僕は、太宰さんから目を離し、自分の書類を見つめる
太宰さん程ではないが、そこそこの高さ
早く、終わらせないと、、
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そして、数刻経ち、帰社する時間になった
敦 「お先に失礼します」
僕は、そう言い扉を閉める
もう日が沈み、月が出ている
真っ暗な道を外灯の明かりだけを頼りに帰る
今日は、鏡花ちゃんも出張でいないので、心細い、、
少しすると、何時もの社員寮へと辿り着いた
バタッと扉を閉めると、あたりはより一層暗くなる
手探りで電気のスイッチを探す
カチッと音がすると、電気がついた
すると、さっきまで気づかなかったが、机の上にお茶漬けが置いてあるではないか、
鏡花ちゃんが作ってくれたようで、丁寧な字で【お茶漬けを作ったから早めに食べて】
と書いてあり、僕はワクワクしながら、スプーンを持ってきて、1口頬張る
、、、なんだ、この味は、、、
見た目は何時も鏡花ちゃんが作ってくれているお茶漬けなのに、何故か、泥でも食べているような、、、、
、そう思った時、僕はふと、小さい頃見た、ある分厚い小説を思い出した
その本では、吸血鬼という、悪い魔物がいて人の生き血を飲み不老不死の身体を持つと書いてあった。
そして、そこにはこうも書いてあった《吸血鬼が人間の食事を食すことが出来るが、、泥を食べるような軽い嫌悪感を覚える》
まるで、今の僕みたいな、、
“今の僕”みたいな、、
その瞬間、ゾワッと言う感覚を覚える
まさかとは思いつつも 恐怖は心を蝕む
これ以上食べる気になれなくなったお茶漬けを冷蔵庫に入れ、まだ早いが、布団へと潜った
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いつの間にか寝てしまったようだ
うーんと背伸びをして、洗面台へと向かう
それは、八重歯の様子を確認するためだ、
頼む!!消えててくれ!!
なんて思いながら、鏡を覗き込む
?
写っない?
鏡には、僕の姿はなく、白い壁だけを写している、、、
それは、僕の心を折るには充分なもので、
疑問は確信へと変わり、、それは絶望へと 変化する
敦 「吸血鬼の特徴と一致してる、、」
吸血鬼は鏡に映らない
それもまた、あの小説に書いてあった物だ
僕は、最後の希望をかねて、探偵社へ何時もより早く出社した
最後の希望 それは、異能力無効化
太宰さんの異能でこういう事の大半は太宰さんで解決する
1つ問題があるとしたら、太宰さんの出社時間の遅さぐらいだろう、、なんて甘い考えを持ちながら、急いで、探偵社へと向かった
結果から言うと、ダメだった
太宰さんが出社して直ぐに、「僕に触れて下さい!!」と言いに行った
少し驚いた顔をしたものの、頭にゆっくりと太宰さんが手を乗せた
僕は、急いで、八重歯に触れる、、
治ってない、、、、
という事は、これは、異能力じゃないということだ、、
スーーと全身の血の気が引く
太宰 「それで、敦くん どうしたんだい?」
敦 「え、えっと、」
太宰 「敦くんにしては、何時もより必死なようだったけど、、」
敦 「い、いや、なんでもないです、」
太宰 「そうかい?そうは見えないけど、」
僕は内心、焦りつつ太宰さんから目を背ける
太宰さんは、「まぁ、別にいいけど、」と言い自分のデスクへと向かって行ってしまった
僕は胸をそっとなで下ろし、席に着く
いや、安心してる場合じゃないだろ!!
何とか、何とか僕だけで治さなきゃ、、
そう考えてから、もうどれくらいたっただろうか、
コメント
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好きぃぃぃぃ!!! 続き楽しみにしてますね!!!