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翌日の放課後、それは生徒会初めての集会がある時間だ。
遥人「ほな、僕ら先帰るなぁ。」
蓮「また明日、ゆう。」
祐希「うん、またね。」
友達と別れた後、生徒会室へ足早へ歩く。
祐希「あれ…まだ早かったかな。」
鍵が閉まったままの扉を数秒見つめたあと、すぐ壁にもたれかかって数分を過ごす。今日は少し暖かいのもあってウトウトしていると、突然肩をポンと叩かれた。
「こんにちは、二年生の生徒会役員さんだよね?遅くなってごめんね、すぐ開けるから。」
優しげな笑みを浮かべた男の人…見るからに三年生っぽい先輩が扉の鍵穴に鍵を挿れる。
それと同時に、その先輩の後ろにいた人の姿にも気づく。
祐希(…うわ、派手…、メッシュ?…今どきの生徒会ってこんな人も入れるんだ…。)
無意識に見つめていると、その視線に気づかれたようにジロっと見られて、ハッとしてすぐに視線を逸らす。
「開いたよ。さ、どうぞ入って。」
祐希「あっ、ありがとうございます…。」
先輩を待たせないようにサッと教室の中に入ると、そこには会議用の椅子と、椅子に囲まれるような形の大きなテーブルがあった。
「自由に座っていいけど、そこがこれからの定位置になるから気をつけてね。」
祐希「は、はい!」
なるべく急いで近くの席にストンと座り、筆記用具やメモ帳などを取り出す。
「ふふ、真面目なんだね。」
祐希「えっ…、いえ、そ、それほどでも!」
優しそうな先輩に褒められて、少しくすぐったくて、幸せな気分だ。
他の生徒一名や先生が生徒会室に入ってくると、すぐに初めての集会が始まった。
先生「えーと、それじゃあまずは自己紹介からしようか。会長からお願いします。」
「はい、俺は三年三組十二番の佐々木 楓(ささき かえで)っていいます。」
楓「少しでもこの学校の目標に貢献したいと思って、会長に立候補しました。どうぞよろしくね。」
祐希(…すご、頼りがいありそうな人…。)
先生「それじゃあ、次、副会長。」
先生が視線を向けた先には、チャラそうな先程の人が。
祐希(えっこの人が…?)
戸惑いながらも、話を聞いてみる。
「楓と同じ組の伯木 翔(かしらぎ しょう)で〜す。」
翔「生徒会入ったのはノリでー、まあボチボチやります〜。仲良くしてね?」
祐希(…やっぱ苦手かも。なんだこの人…。)
先生「じゃあ、次は書記。」
祐希「あっ…はい。二年一組一番の相場 祐希です。少しでも誰かの役に立ちたくて入りました。」
________
会計係や先生の自己紹介も終わったところで、会議の本題に入る。
楓「基本的には俺が司会をするけれど、困ったことがあったら先生にも聞いて大丈夫だからね。」
佐々木先輩は依然として微笑みを保ちながら優しく言う。
楓「生徒会は最初からたくさん仕事があるんだけど、まずは報告のとき。生徒会はこんなメンバーが揃いましたよ〜っていうのを発表するんだけど、これは俺が引き受けるよ。それで、その資料作成をこの中の二人に任せたいんだけど、誰かやってくれる人はいる?もちろん、余った人にも仕事はあるから大丈夫だよ。」
祐希「お、俺やります!」
楓「うん、ありがとう相場くん。助かるよ。…あと一人は…翔、やってみたら?後輩くんもいるし、仲良くなれるチャンスだよ。」
翔「興味ねぇ〜。」
楓「そう言わずに。資料作成って言っても、ほとんどはテンプレート型だから、ほとんどホッチキス留めるだけでいいんだよ。」
翔「まじ?じゃあやろうかな。」
楓「じゃあ、これで決まり。田中(会計)くんは会場の整備と点検を先生としてきてほしいんだけど、いいかな?」
________
楓「それじゃあ、今日の会議はおしまい。あっ、そうだ。ホッチキス留めの二人は二人で予定合わせて、空いた時間にやってくれればいいからね。期限は、再来週の月曜日。焦らずにやってくれればいいから、お願いね。」
祐希「は、はい!」
翌日の昼間。
遥人「ゆーちゃん、はよ購買行こ〜。」
祐希「ごめん二人とも、今日用事あって…一緒にご飯食べれそうにない!」
蓮「…そういうことなら仕方ないな。頑張るといい。行こう、はる。」
遥人「ほな明日は一緒になぁ。」
二人の姿が見えなくなると、俺は急いで三年棟へ向かった。
祐希(三年…三組だったよね。)
三組の教室に顔を出して、緊張しながらも声を大きくする。
祐希「あの、すみません。伯木先輩いますか?」
すると一人の派手髪が目につく。その隣には佐々木先輩もいる。
楓「あっ、相場くん。ほら翔、行ってきなよ。」
翔「え〜。今飯食ってんだけど…。」
楓「後輩くん待たせちゃいけないよ、早く。」
翔「はいはい…んで、なに?」
祐希(えっ、思ったよりデカ…。)
歩み寄ってきて、だるそうに扉に手をつく伯木先輩。その瞳には俺に対しての興味の欠片も見当たらなかった。
祐希「あ、あの…。」