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#snjn
ひつじ
3
仕事が終わり、佐野から言われた個室の居酒屋に向かう。お店が見えてくると、その前に立っている長身の男が目に入る。朝見た真っ黒コーデの佐野だった。
「勇斗っ、お待たせ。」
「お、仁人ー!全然待ってないからへーき。予約してあるから行こーぜ。」
「あ、そうなの、ありがとう。」
「そーいうのは俺に任せとけって!」
ウインクしながら店に入っていく佐野の後ろを吉田はついて行った。
通された個室はオシャレな雰囲気のいい座敷の部屋だった。
靴を脱いで佐野と対面で座る吉田。
飲み物や料理をとりあえず適当に頼み、全て揃うまでは最近あった話をして過ごした。塩﨑がまた変なことしたらしく、その時の様子の写真を見せながらケラケラ笑う佐野を吉田は見つめていた。
料理が全て揃い、食事も中盤となったところで佐野が少し背筋を伸ばして深呼吸した。
「ふぅ、よし、仁人、俺、仁人に聞いて欲しいことがある。」
「う、うん、どうしたの。」
「実は俺……。」
拳を握りしめたまま言葉につまる佐野。吉田は胸の高鳴りを抑えられずにいた。
佐野はもう1回深呼吸をしながら体の力を抜くために自身のその大きな体を少し揺さぶる。すぅっと息を吸いついに話し始める。
「俺、実は。柔太朗のことが好きなんだ。」
「…………。……え?」
頭にガツンととんでもない衝撃がかかる。
え、なんて言った。誰が好きって?え?柔太朗?柔太朗ってあの柔太朗だよな。勇斗は柔太朗のことが好き?え、あれはなんだったんだ。俺のことは……。え、どうすればいい。俺は……
期待した自分が、恥ずかしい。
「仁人……?」
頭も心もぐちゃぐちゃで何も言えない吉田に佐野は少し震えた声で問いかける。
「あっ、そ、そうなんだ、全然、気付かなかった」
「おう、それで、仁人にお願いがあって……。」
「う、うん……。何?」
「これから、俺の相談に乗って欲しい……。」
「……わかった。いいよ。」
「ほ、ほんと!?ほんとにいいの!?」
「うん。」
これが、惚れた弱みか。
好きな人の自分じゃない好きな人の話なんて聞きたくないに決まってるのに、ふたつ返事で了承したのは、これからも佐野の隣に居続けたいから。
関係が恋人じゃなくても、愛し合っていなくても、それでも離れるよりは、まだ少しだけ、心が楽になれるから。
それに、今目の前でただの恋する男になっている佐野が今まで見たこともないくらいに威勢を無くしているのが珍しくて。
こんな勇斗見れるのは、俺だけ。
そんな黒い感情が腹の中で渦をまく。
俺も、大概馬鹿だよな。
わかっていても離れることなんてできない。この人のそばにいたい。どんな形でも。
コメント
7件
どんな形でも好きな人の隣にいたいって気持ちめっちゃ分かります
backnumberの幸せ聞いて欲しい。めっちゃ合いますよ。まじで、
タイトル回収ですね 吉田さんの「好きな人(佐野さん)の好きな人(山中さん)」