テラーノベル
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🍌視点
大きな扉が開かれた瞬間
安心しきった体に
冷たい空気が纏わりついた。
屋敷の中は暖かみのある照明があるものの
異様に薄暗かったし
壁にかけられた肖像画が
こちらを見ているような気がした。
優しい声の主に手を引かれ
連れてこられたのは食堂だった。
食堂の中は大きな机の周りに
4脚の椅子が置かれているだけだった。
?「何か温かいものを
用意するから少し待ってて。」
と椅子を引いて自分を座らせた後
ふわりと微笑み
キッチンの奥へと消えていった。
?「俺も手伝いますよ。」
?「俺椅子もう1脚持ってくるね。」
と次々と他の人達も
キッチンの奥へと消えていった。
食堂に残されたのは自分と
初対面で刃物を突きつけてきた青年だった。
静まり返った空間には
時計の音すら聞こえない。
まるで時間の流れが
他とは違っているみたいだった。
そんな重苦しい空気を
どうにかしたかったが言葉が見つからない。
そのとき彼と目が合った。
?「…なぁ僕のこと怖い?」
その声は先程とは違う
高く柔らかかった。
『…少しだけ。』
少しだけと言うのは嘘だ。
本当はとても怖かったが
そう伝えてはいけない気がした。
?「僕本当は怖がらせるつもりは
なかったんやけど…あの、その
あんまり人と関わったことないし…
テンション上がっちゃって。」
言葉を詰まらせながら
視線を泳がせるその姿は
まるで何も知らない子供のようだった。
?「…ただ仲良くしたかっただけで。
けど僕普通じゃないから、
みんな離れていっちゃうから。
僕が悪いのは分かってるんやけど…。」
その声はまるで長い時間をかけて
やっとほどけた結び目のように
弱々しくて儚かった。
彼が普通じゃないと言った意味は
まだ知る由もなかった。
『…自分はまだここに居ますよ。』
気づいたら口が勝手に動いていた。
彼は目を丸くして嬉しそうにこちらを見た。
?「ほ、ほんまに!
ぼ、僕名前おらふくんって言うんや!
名前呼んでや!なぁ、ほら!」
正面の椅子に座っていはずの彼は
興奮した様子で机の上に身を乗りあげた後
自分の隣の席に腰を落とした。
早く呼んでやと急かされ
おらふくんと呼べばとても喜んでくれた。
?「なぁ名前なんて言うん?教えてや!」
『……名前は、おんりーです。』
一瞬時間が止まったような気がした。
おらふくんは目を瞬かせた後
パッと笑みを浮かべた。
⛄️「おんりーかぁ!ええ名前やん!」
『……ありがとう。』
自然に言葉が返せたのが
自分でも不思議だった。
⛄️「…おんりーかぁ、んふふ♡
おんりーみたいな優しい子ほど
壊れやすくておもろいんよな!
絶対逃してあげないから覚悟してな。」
1000❤︎↑
シリアス系を書いていると
ギャグ系を書きたくなるこの現象isなに!
コメント
4件
わ、わぁ…or…もしかしてさっきの演技!?ってぐらいにひっくり返してきますね…まぁ、演技なんでしょうけど…。 帰れない客人ってそう言う事か…orが…監禁…て言うか皆で監禁しそう(????) とにかく最高でした!続きも待ってます!
最後の⛄️のセリフで🍌ちゃんが監禁されるの確定してる…まぁ周知の事実だったけどね!それにしても⛄️が🍌ちゃんの名前を聞いた途端一瞬止まったの謎だな…もしかして監禁部屋にお名前でも書くのかな?