相「……おい天草」
『うるせェしつけェうぜェ話しかけんな!』
相「………はぁ」
もうボール投げは終わったのに話しかけてくるワカメ野郎に、さすがにめんどくさくなった。
てかしつけェ。「おい天草」って二回目だぞ?
耳をふさいで叫ぶと、後ろで小さく舌打ちが聞こえた。
テメェ私の耳の良さ舐めんなよ!ぶん殴るぞ!
『あーめんどくせェ。なんであんな私に突っかかってくんだ?』
「あ、あの!翡翠ちゃん、だよね?」
『……今度はなんだよ』
後ろから感じる威圧感を無視して、今度こそ元の場所のすみっこに戻ると茶髪の可愛らしい女の子が話しかけてきた。
初めて女の子と話すから緊張した顔をしながら振り向くと、女の子は一瞬ビクッっとしてから笑顔でぴょんぴょんしだした。
「あ、あのね!さっきのボール投げ、すっごいかっこよかったよ!!君がびゅんって投げたら一気に見えなくなっちゃって。みんなびっくりしてるのに君はなんでもないような顔してるし!」
『………は?意味わかんねェ。てかうるせェ、私は今あのワカメ野郎のせいでイラついてんだよ。黙ってろ』
「わかめ?!うっ……ごめんね……」
『……』
「……」
同い年の女と話したことがねぇから、強く当たっちまった。
で、この空気に耐えられなくなって仕方なく私から女の子に話をふる。
『………あー。私のボール投げ、だっけか?』
「そ、そうっ!すごいなぁって」
『……別にすごくねェだろ。てかオマエだって同じ記録出したじゃねェか。………あァイラつく!』
「えぇ!?そ、そうだけど!同じじゃないの!なんていうか……うん、かっこよかった!私はふわって感じだったけど、君はビュンって!」
『日本語喋れ』
「日本語やろ!……あっご、ごめん!えと、私ね。憧れてたんだ。ヒーローみたいなかっこいい個性に」
「あ?」
やろ?……なんだそりゃ。やっぱオマエ宇宙人とかなんじゃねェのか。
私がそんなことを考えてる間に、チビはいきなり眉毛を八の字にして話し始めた。
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