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ホスト系V、幻想エデンのボーカルは人付き合いが苦手である。
「千鶴、この後俺の家でオールとか」
「しないめんどくさい忙しい」
歌声、ギターともに一流であるが対人関係は良好とは言えない。
沢田千鶴は人間が苦手だった。
(誰も彼もみんな俺に構ってくる。一人でいたいとかそういうのも考えられねーのか…)
いつからかは正確には覚えていないが、歳を重ねるごとに内向的になっている。
千鶴のそんな様子を見た友人が一言、かなり余計なことを言った。
「ちい、審神者になってみたら?案外楽しいかもよ」
「…面倒くさい」
「そんなんだから嫌われるんだぞー?まあモノは試しだって!ほら!」
押しに弱いのを矯正しておくべきだったと内心思っていた。
審神者名を入力し、所属サーバーを選ぶ。
「…わっかんねー。とりあえずりくおく…むつって読むのかこれ。」
感覚に頼って生きてきた千鶴にとって、漢字は難敵だった。対して何も考えていないため、審神者名も本名と同じくちづるに決定したが、ネットリテラシーというものを多分彼は知らない。
「ちづる様、私はこんのすけと申します!」
可愛く装飾された狐が飛び出してきて、喋った。
「まずは、始まりの一振りをお選びください!」
なにか説明されていたが、よくわからなかった。
「かしゅう、きよみつ」
直感的に同じ人種だと思った加州を初期刀に選び、こんのすけに顕現してもらう。
「俺、加州清光。川の下の子、河原の子ってね。扱いにくいが性能はピカイチ、いつでも使いこなせて可愛がってくれて、あと着飾ってくれる人大募集してるよ。」
千鶴の目に飛び込んできたのは真っ赤な瞳だった。
「着飾るのは、好きなんだ。俺も、好き。」
思わず目をそらす。
「俺は、ちづる。君の、新しい、主。よろしく。」
何を言えばいいのかがわからず、途切れながらも言葉を紡ぐ。
かつて友人に言われた人と話すときは目を見ろという言葉のおかげで、幸いまだ俯いてはいない。
「うん、よろしく。ところで主、その爪紅いいね!後で俺にも塗ってよ♪」
第一印象はそう悪くはなさそうだった。