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カノーカ王国に来ていた四人は、人間だと知りつつも死にたくないので、襲ってくるモンスターを魔法と剣を使い何度も倒す。小さな建物を探し回った。
そんなものはどこにもなく、全て壊れていて小さいのか大きいのかもよくわからない。体力が消耗されていく。これでは埒が明かない。
一旦崩れた建物の中に入り、残った食事をとって休憩する。食材もほとんどないので、買わなければいけないがお金は0レミル。一日くらいは過ごせるものの、二日三日と経てば死へと近づいていく。
四人は貴重な水を口に含み、無言のまま話をすることもなかった。皆魔法と体力を使って疲れているのだ。とはいえ、最初の頃より着実に成長している。
カロリーヌは、炎の魔法をメラメラと燃やして出し切ると10分後に著しいマナの消費や体力の限界に来ていた。今では、大量に炎の魔法を使って攻撃しても疲れることは少ない。
アンジェは手をドラゴンの炎で火傷しているが、風魔法をさらに強化して上下左右それぞれの角度から数を変えて風を吹かせることができるようになっていた。魔法が全く使えなかった子供とは思えない。これも今はいないドミニックとアンジェ本人の努力のおかげだ。
そしてザールは前まで腹を中心に食べていたが、首や心臓などの急所だけを狙って食べるようにしていた。そうすれば余計なものを口にしなくていいし、これ以上太ることもないから。
最後に主人公であるシプリートは、最初体力を著しく消耗してしまい一瞬でばてていたが、何度も走り筋トレをしていたら次第に体力と筋力がつき、攻撃が入るようになった。
戦いの中で動体視力も学び、どんな攻撃も避けられる。
皆とても成長していて、微笑ましい。
「はぁ……一番小さな建物ってどれのことかしら?建物が壊れていてわからないですね」
カロリーヌは、眉を下げてため息をつく。
「地道に探していこうぜ」
シプリートが歯を見せてグッドマークを表現すると、他の三人はズコっと滑る。「真面目に考えろよ」と怒られてしまった。
流石に考えもないし、そのような小さな建物も見当たらない。苦痛が押し寄せ、体が震えてきてしまう。
ドミニックもこんな気持ちだったんだな。お前、頑張ってたんだ。すごいやと、彼を称賛する。
いじめてきた嫌な奴で、冒険をしたら現実主義者に変わる。嫌な奴なのは変わりないが、本当は仲間を思いやることができる。恥ずかしくて照れてしまい、同性に実行しないだけ。
少し休んでからシプリートを先頭に、また歩みを進める。食材は無くなり、今日中に見つけなければまずい。
焦る気持ちでカノーカ王国を彷徨い続けたら、建物の一つから三つの蛇の首を持つヒュドラと青い鱗のドラゴンが現れた。建物は破壊され、カケラが地面にたくさん落下する。
あの建物は、確か旧教会だと父上に教わった。
当時の協会は大きくてでかいが、昔はとても小さく人が十人入ると窮屈というくらい狭い場所だった。つまり旧教会が一番小さな建物ということだったのだろう。
シプリートは今更納得し、そこから現れたヒュドラと対決することになる。
青いドラゴンも隣で羽ばたいていて、青い髪を振り乱している。このドラゴンどこかで見たような……。
いや、そんなこと関係ない。二体倒せば終わりだ。ルーペントが手に入る。
シプリートは剣を鞘から出して構え、左手にある太陽の盾を前の方に突き出して突撃。少し飛び跳ねて蛇の首を切り刻む。
首が飛び散ったが、真ん中の首が炎を吐いてくる。盾で守り、なんとか防衛することができた。しかし切れた首が徐々に元に戻っていき、何事もなかったようになってしまう。このヒュドラ、不死身のようだ。なんてことだ……。
いや待てよ。ヒュドラは確かその三本のうち、どれかが不死身じゃなかったはずだ。図鑑で一度読んだことがあるのを思い出した。
シプリートは地面で体勢を整え、真ん中に切り掛かる。ずっと戦いをしていたので全ての炎を避けることができ、真ん中を切り付ける。
すると首から黒い液体が吹き出た。これで炎が使えなくなるはずだ。楽勝だな。
「アンジェ、ザール、カロリーヌ。このヒュドラを倒せ!」
「「「わかった!!」」」
三人は一斉に走り、ザールは右の首にかぶりつきアンジェは左の首に風の刃をお見舞いする。
首が両方とも切れて、黒い血が吹き出た。仕上げにカロリーヌが胴体を炎の連続パンチで攻撃。ヒュドラは、無事に燃やされて死亡した。
「やったー!!みんな倒したぞ!!」
シプリートが喜びを上げて、三人でハイタッチ。しかし死亡したヒュドラの中に黒焦げの人間が入っているのを目撃。顔が青ざめて、ハイタッチをやめる。
綺麗な橙色のダイヤ付きペンダントが落ちていた。このペンダントの形から、姉のフローリスのものであることが頭に浮かぶ。
あのヒュドラが姉であることを知り、あまりにも衝撃的すぎて理解が追いつかない。シプリートは姉を殺してしまったのだ。
強い罪悪感に襲われ、一気に戦う気力を失う。その場で手をついて項垂れ、涙を流す。唇を噛み締めた。ペンダントを握り締める。
「姉……上……」
姉は何度も弱い者いじめしてきて嫌な奴だったが、殺せて嬉しいとは感じない。むしろ家族が亡くなってしまった悲しみの方が強い。
ということはまさか、この青い髪のドラゴンはドミニック!?そんなわけ……。
ドラゴンをマジマジ見てみると、前髪がドミニックに似ている。口があんぐりと開いてしまった。
「ギャォォォォォ!!」
ドラゴンが雄叫びを上げると、水攻撃を口からしてきた。それを盾でガードしたが、魔力が強すぎて盾が吹き飛ばされ攻撃を喰らう。
「うっ……」
この魔力、ドミニックのものに似ている。それにドラゴンが帯びているあの覇気は、彼のものと類似していた。あいつもモンスターにさせられたのか。
恐らくアズキールの仕業だ。あいつがフローリスとドミニックを捕まえて、モンスターにしたに違いない。そして戦わせて、絶望を味合わせるつもりなんだ。そんなこと絶対にさせない。話しかけて意識を取り戻してやる。