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「このフロアには高遠さんと琥太郎さん、マキさんと俺、そしてこれからは君くらいしか出入りはしないと思う。経営企画なんてもっともらしく言ってるけどあの二人のスケジュール管理がほとんどだよ」
「な、なるほど……」
「元々瀬戸さんが配属されるはずだった経理本部や、開発、営業本部や人事、全体でもこのビルには百人もいないくらい。営業とエンジニアやデザイナーが大半かな」
話しながら奥村は「座ろっか」と、フロアの真ん中にある大きなテーブルを指した。
優奈は奥村の後に続いて着席し、向かい合う彼の話の続きを待つ。
「他にも何ヶ所か拠点があったり、事業を分けて子会社化されりで。でも瀬戸さんが関わるとなると、本部が集まってるこのビルの人たちになるかなと」
「はい」
「良くも悪くも高遠さんと琥太郎さんが中心の会社なんで、規模的にも二人が現場に出る頻度を何とかしたいなって言うのがマキさんや俺の課題」
こくこくと頷きながら聞く優奈に、奥村は柔らかく笑顔を向けた。
「マキさんは高遠さんのスケジュール管理や……まあ、ボスが目立つ人なんでテレビや雑誌に出ちゃった時の対応とか」
雅人は何度か芸能関係の人間とスキャンダルをスクープされているし、それを横目で無心を装いつつ眺めていた自分を思い出す。
「ただ人事育成もマキさん任されてきてるんで、瀬戸さんにそのへん引き継ぐんだと思うよ」
「え」
「自由に動く高遠さんの管理だね。でもやりにくいようだったら相談してみてもいいと思うから」
「あ」
「琥太郎さんの方は、俺だったり今日は取引先に行ってる澤田さんって女性が管理してるけど、あの人は高遠さんより詰め込まないからまだ何とかね、別の仕事しつつやれるんだけど」
聞いていたよりもガッツリと雅人と関わってしまいそうで、いいのか悪いのか。
「俺も普段は高遠さんたちに着いて回ったり使いっ走りしてること多いけど、あの二人よりは社内にいると思うからなんでも相談して」
「ありがとうございます」
頭を下げた優奈が、顔を上げると奥村がパソコンを取り出し立ち上がった。
そのまま優奈の隣にやってきて再び着席する。