テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「そういえば頼んでいたものは?」
「あ、忘れてました」
「何でやねん」
言われたことを思い出して(二回目)裏口に戻って冷蔵庫のプリンの型を取り出した。
こういうときは振って確認する(強く振ると崩れま
す)そして表面が揺れなかったら完成になる。
「久しぶりに作ったけど上出来かも」
昔金があったころによく両親に作って貰った記憶が蘇ってくる。
「それはプリンですか?」
「うわぁ!?」
(やっぱりこの人不意打ち怖いわ…)
「は、はいプリンですが…嫌ですか?」
「いいえ。聞いただけですので。」
(冷たい対応…この人どんだけコロコロ態度変わるんだ?)
もう一度不思議な人だなと思い直したとき
「まぁ…あのお客様は大丈夫ですねボソッ(小声)」
「…?」
「いえ。独り言です。それよりプリン頂いてもよろしいでしょうか?」
「は、はい」
僕は不吉な予感が頭に浮かびながらも、プリンを渡して食べた。
とても美味しく、上が少し固めで真ん中が柔らかめで、下はトロトロの三層が最高だった。不吉な予感をかき消すように…
………………………………………………………………………
その頃客は
(ふふふ…やっと手に入れたわ!)
そう思いながら思いっきりジャンプした。
あたしは花林《かりん》。
学校で一番可愛いギャルよ!
でも…“元”とも言っても良いわね
最近有名になった亜美《あみ》というぶりっこ女子が学校で一番可愛いといわれてきてたのよ…
そんな風に思っていたら不思議な店を見つけてね。
私にぴったりの商品をくれたの!!
仮面《かりめん》という自分の理想の姿になれるって!信じるのはまだ早いけど…
早速家に帰って、明日試してみることにした。ワクワクがアゲして、眠れないかも…
次の日
朝いつもより早く起きて着替えるついでに仮面《かりめん》をつけてみることにした
無地の仮面は見たことない…真っ白でただ作られただけの感じだ。サラサラとした生地が心地よい…期待を寄せつけてみた。
別に何の感触もせずに効果が無かった気がした。
(あれ?これ騙された感じ?)
しかし、全身鏡を見た瞬間
なんと理想の顔となっていた。
綺麗にできたメイク、ツヤツヤの金髪…まさになりたい顔となっていた!
(本当だったんだ!これ…凄い!)
これなら…と学校に行ってみた。
今日は爽やかな青空の快晴だ…ラッキー!
そして道行く人々が私の顔を見ている…効果てきめんで凄い!
クラスに入った瞬間
皆が一斉にこちらを向いた。
ヒソヒソと「花林めっちゃ可愛くない?」「花林こんなのだった!?凄い!」
もうそれからは最高の日々の連続だった
みんな私と仲良くしてくれて
男子は毎日告白してきて
SNSでもバズって
もう幸せいっぱいだ
ある日
外でタピオカミルクティーを買って帰ろうとした後
風船の割れるような音が響いた。
多分あのマジシャンが失敗してしまったのだろう…
と思っていたその時
「きゃっ!?待ってパピヨンちゃん!」
聞きたくない亜美の声が聞こえた。
無視しようかと思ったが
パピヨンちゃんという犬は横断歩道に突っ走っていく。
そこには
(リード手放したのが悪いんでしょ)
と無視をしようとしたら
「待ってぇ…もう家族皆私から離れちゃ駄目なのぉ…もう一人になりたくないの!」
とわんわん泣きながら犬の方に向かう
あの感じだと間に合いそうにない
「…あーもう!」
あたしは思いっきり助走をつけて
そして亜美の方を見て
「あとはよろしくな」
とポツリと言った。
理想なんかより家族が大事だし
もうあたしがどうなってもいい
だから
鈍い音とともに私は意識を失ったー
………………………………………………………………………
ああ、あたし死んだのかな
理想を裏切って…願いを壊すって何てバカなんだ
でもあの子の犬を守れたならそれでいいや
お供え物タピオカミルクティーにしてもらおうかな…
…えっ
あ、あの頃の定員さん!?
「あなた様は私との約束を
…へ?
「私はこの商品を使いまわさずに人気になる方法を教えていました」
「それは
…あ!思い出した…
「まあ今回は特別サービスとして元に戻しますが…
………………………………………………………………………
「…でその後、ギャルの人はどうなったんですか?(幽霊体の中に入ったのは多分嘘なんだろうけど)」
「ん?ひゃひゅひょほっほへは(訳;ん?あの後無事に意識を取り戻していたよ)」
(わからないな…あとプリン食べながら喋らないでほしい)
そして女の人は三個目のプリンを取ってった…(お腹壊すぞ)
まあ平和ならそれでいいか…
………………………………………………………………………
雨に濡れた木は青々しく生い茂る。
葉からは雫がしたたっていた。
キーコキーコとタイヤの音がした。
「梅雨もいいよねぇ花林ちゃん」
「ああ…見えないけど」
その後彼女は意識を取り戻していたが
目は見えなくなり、骨折して車椅子生活となってしまった。
「いいや…絶対見えるよ!ねぇパヒヨンちゃん!」
ワフッ!と犬の威勢良い声が聞こえる。
「まあ…いつかな」
二人は顔を見合わせてフッと笑った
あの仮面は割れて消えた。
だから目がなくなった
でも亜美といるなら大丈夫
おめでとう!
今回はHappy endだ!
でも
次はどうカナ?
コメント
2件
めっちゃ好き!