テラーノベル
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東京駅の雑踏の中、待ち合わせ場所に立っていたのは、見慣れたはずなのにどこか眩しい、私服姿の元貴さんだった。
「おかえり、らんちゃん。……いや、『いらっしゃい』かな?」
そんな優しい冗談と共に、私の重い荷物をひょいと肩代わりしてくれた元貴さん。車に揺られて到着したのは、ミセスが所属するユニバーサルミュージックの息がかかった、清潔感あふれるマンション。
「ここ、使っていいから。あ、Wi-Fiはもう繋がるようにしてあるよ。レポート書くのに困らないようにね」
案内された部屋の扉を開けると、そこには一人で住むには申し訳ないくらい、広くて綺麗なお部屋が広がっていた。勉強机も、座り心地の良さそうな椅子も、窓から見える東京の景色も。家賃も生活費もほとんどを工面してくださるなんて、どれだけ感謝しても足りないよ。
「すごい……。元貴さん、本当にありがとうございます」
「いいよ。その分、しっかり学んで、僕たちを助けてね」
二人で「ここには何を置こうか」なんて部屋探検をしている時間は、まるで夢の続きのよう。でも、お別れの時、玄関で元貴さんが口にした言葉で、私はハッと現実に引き戻されたんだ。
「じゃあ、片付け無理しないように。……また明日ね」
「……っ、はい! また明日!」
扉が閉まった後、静まり返った部屋で、私は胸に手を当てた。
今までは、連絡を取り合っていても、次にいつ会えるか分からない「またいつか」の毎日だった。でも、今日からは違う。
(「また明日」……。明日も、明後日も、私は元貴さんに会えるんだ)
誰もいない、まだガランとした部屋の真ん中で、私は思い切りガッツポーズをした。
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🌹はなみせ🍏
コメント
2件
今回も神作ありがとうございます✨