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『』
「もう気は済んだか?なら帰らせてくれ」
よろよろと立ち上がった男をよく見ると頭から血が出ている。
はぁだからあまり強くしないでって言ったのに。
「でも帰ったとこで何処に帰るの?」
「それは…特別に雇って貰ってる所があるからそこに」
「どーせ、酷い事されてんじゃないの~?」
手を後ろで組んで一歩近づく。
「それは…」
「ね?ほら!」
相手の細い腕を掴み連れて行く。
「俺はらっだぁ。お前は?」
「俺は、コンタミ」
チラリと後ろを見ると紺青色の瞳が揺れているように見えた。
「ラミーン!手当てよろしくー!」
そう言うとラミンが不服そうに睨んでくる。
「ラー」
小さな体でスムーズに手当てが行われていく。
「ありがとう」
周りを飛び回っていたラミンに優しく触れる。
「ラ、ラー!」
こっちに来いと言っているのだろうか。
「分かったよ」
「あ、終わった?なら今からこれからの方針を話そう」
今度はさっきの部屋ではなく長い木造の机が置いてある部屋に案内された。
「んで、話なんだけど──」
淡々と説明がされていく。
どうやらコイツは何やら国を作りたいらしい。
人外でも誰でも住める国を。そんな国があればどんなに良いことか。
「じゃあ俺はその内の一人目?」
「いや、二人目だよ」
「二人目?」
らっだぁは窓から見える花畑に目をやる。
「あそこに居るよ」
そこにいたのは緑の大きな魔女帽子を被っており白い服に黒いズボンを着ていて 魔女帽子の隙間から宝石のような緑色の瞳が見える。
その子はしゃがみ込み花の匂いを嗅いでいる。
「あの子は?」
「あの子はみどり。俺らと同じ人外。」
年は大体七歳から十二歳ぐらいだろうか?まだ幼いというのに
「あの子はね幽霊だ。」
「え?それは…」
聞いたことがある。幽霊の人外は元々普通の人間である事。人間の体を幽霊が呪いとして契約されてしまうという。なら、あの子は…
「成長しない?」
らっだぁは窓にそっと触れ頷く。
「あの姿で百年、二百年以上生きてきたんだ。たった一人で」
らっだぁは姿勢を戻す。
「少し昔の話をしようか」
【ある少年のお話】
ある町に少年が住んでいました。その少年とても優しく家族と暮らしており充実した毎日を送っていました。
ある日その少年は泣いている子を見つけました。
『どうしたの?』
『独りぼっちで寂しいの』
『なら、俺が一緒にいてあげる。』
そうして毎日毎日その子の所に通う日々が続きました。
あの子が独りにならないように。
悲しい思いをしないように。