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『』
少年は忙しく中々あの子の所に行けない日々が続いた。
『久しぶり!来れなくてごめんね』
『やっと来てくれた!どうして来てくれなかったの?』
少年が理由を話すとその子は『そうなんだ』と一言。
少し話し帰る時間となった。
『もう帰るね、母さんにお使いを頼まれてるんだ』
『そんな!久しぶりに会えたのに』
『ごめんね、また来るから!』
『またって明日?』と少年の去り際にその子が言うと少年は『んー多分次は一週間後くらいかな』と申し訳なさそうな顔をしながら走り去ってしまった。
『また、また独りになる。次は大丈夫だと思ったのにな…。そうだ!なら、こうしちゃえ』
空はとっくにオレンジ色に染まっており少し早足で歩く。
『ただいま!あれ?居ないのー?』
いつもなら返してくれるはずの返事が今日は来ない。
リビングに向かおうと思い一歩踏み出し辺りを見渡すとぐったりとしている父親と兄を見つける。
『ちょっとこんなことで寝たら駄目だよほらおき…て?』
父親を触ると冷たい。兄もそうだ。
『か、母さんっ!』
キッチンに向かうとそこにはぐったりとしている母親がいた。
『あぁそんな、嫌だ嫌だ!』
少年は悲しみに暮れた。
独りぼっちだ、あの子と同じ。独りぼっちは怖い。会いに行こう、あの子に。
よろよろと力無く立ち上がりその子の所に向かう。
『どうしたの、こんな時間に?』
その子はニッコリと笑う。
『ちょっと疲れて』
その子の手を握る。 人の暖かさを感じたかった。そうでもしないと凍ってしまいそうで
でもスルリと通り抜ける。
『え?』
『あれ言ってなかったけ?自分幽霊なんだよね』
そんな、幽霊だなんて
恐怖がにじり出てくる。が、恐怖とともにある考えが浮かび上がる。
『ねぇ幽霊なら俺を殺してよ……いや、何でもない。忘れて』
『フフッ別に良いけど』
その子は薄らっとした手を少年の頭に触れる。
『でも、殺すなんて嫌だな~。なら、幽霊になろう、一緒になろう。お互い独りぼっちにならないように』
「確かに、その方が良いや」
そして少年は目を閉じた。
二度と失わない光を求めて