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刻の碧律

139 - 第7話:戦闘演習、碧律の音

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2025年04月24日

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第7話:戦闘演習、碧律の音



ツリーハウス学舎、最上層の円形演習場――

碧素の柱が周囲を囲み、今日だけは“街の一角”を模した本格バトルフィールドが再現されていた。


「実戦フラクタル授業だ! 今日のテーマは“即時連携”。あなたたち!命のテンポ合わせてみてください!」


スエハラ先生の号令が、演習場に響く。

生徒たちはチームを組み、コードの連携と戦闘判断力を競う練習だ。





「いくぞタカハシ!今日はマジで合わせていこうぜ!」

ゲンは演習服の上着をゆるく羽織り、左腕のフラクタルリングをきらりと光らせる。


「いつも“合わせる”気なかっただろお前!」

タカハシはきっちりと制服を着こなしながら、眉をひそめたが、口元は少し笑っていた。





対戦相手がフィールドの奥から現れる。


《BLADE = SPIKE》《VELOCITY = +10》《LOCK = “双方向追尾”》

光の槍を持ったフラクタルが猛然と迫ってくる。


「速い!ゲン、バリア貼るぞ!」


《SHIELD = TRUE》《RESPONSE = AUTO》《ANGLE = WIDE》


タカハシのシールドが展開され、前方に青いカーテン状の防壁が張られる。

だが、敵のコードは予測不能の角度から突っ込んでくる。


「なら、合わせようか!」

ゲンが踏み込む!


《SPLIT = SOUND》《PULSE = “呼吸”》《COLOR = “焦がれる碧”》

空中に“音を分ける”コードが放たれた。

視覚では捉えられない振動が走り、敵の動きが一瞬、ブレた。


「今だ、タカハシ!」


《GRAVITY = -2》《REFLECT = SYNC》《SPEED = +4》

重力を制御しつつ、シールドが敵の攻撃を“跳ね返す”。


光と音、論理と直感。

ふたりのコードが繋がった瞬間、碧律のようなひとつの旋律が空間を包んだ。





演習後――


スエハラ先生が腕を組んで笑う。


「……あなたたち、曲でも書くつもりなのでしょうか?? 今のコード、完璧に“響いて”いました。」


ゲンが天井を見上げながら笑う。


「タカハシのコード、やっぱ響きやすいんだよ。“意味”が通ってる」


「……お前のも、“綺麗すぎて腹立つ”けどな。なんか悔しいけど、またやりたい」


ふたりは、音もないコードの余韻の中で笑った。





教室に戻ると、他の生徒たちが演習のリプレイを見ながらざわついていた。


「え、あのタイミングで《PULSE = 呼吸》入れるとか、どういう感性してんの?」「あれは無茶と芸術の間!」


「ええなぁ……次はオレも“コンビ”やってみたいな!」


フラクタルは命を削る力。だが、重ねれば――旋律になる。


そして今日も、命が削られる音が、碧律として“ひとつの街”を作っていく。

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