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13
放課後。
人の少ない廊下。
「元貴、待って」
後ろから呼ばれて、足が止まる。
「……なに」
振り返ると、若井が少し早足で近づいてくる。
「これ、忘れてた」
差し出されたノート。
受け取ろうと手を伸ばす。
その瞬間。
指先が、ほんの少しだけ触れた。
「……っ」
一瞬で、世界が歪む。
―「来い、元貴」
違う。
違うのに。
「元貴?」
声が遠い。
「顔、やばいよ? 」
近づいてくる。
だめ。
それ以上来たらっ、
「来ないで!!」
大きな声が、廊下に響く。
若井の足が止まる。
「……ごめん」
反射みたいに謝る声。
でも、元貴はそれどころじゃなかった。
「やだ、やだっ、… 」
手が震える。
呼吸が浅い。
「元貴、大丈夫」
落ち着かせるような声。
でも、それすらも混ざる。
「触らないでって言ってるでしょ……!」
過去と現在が、ぐちゃぐちゃになる。
「……わかった」
すぐに距離を取る気配。
でも、もう遅い。
「また……」
ぽつりとこぼれる。
「また、なるっ、」
せっかく、少し慣れてきたのに。
全部、戻る。
「……元貴」
少し離れた場所からの声。
「大丈夫、戻ってない」
「……うそ」
即答する。
「今だって……」
こんなに怖いのに。
「怖いのは、当たり前」
静かな声。
否定しない。
「でも」
少し間があって。
「前より、ちゃんと止まれてる」
「……っ」
言葉に詰まる。
「さっき、自分で“来ないで”って言えた」
それは事実だった。
「前は、それすら難しかったじゃん」
胸が、じわっと痛む。
「……でも」
「それでもだよ」
優しいけど、はっきりした声。
「戻ってない。ちゃんと進んでる」
信じきれない。
でも、少しだけ。
「……ほんとに」
「ほんとに」
迷いのない返事。
「だから」
続く言葉。
「焦んなくていい」
その一言で、涙がこぼれる。
悔しいのか、安心したのか、もうわからない。
「……最悪」
ぐしゃぐしゃの声で言う。
「全然慣れてないじゃん」
「うん」
あっさり肯定される。
「でも、前よりはマシ」
「……なにそれ」
少しだけ笑いそうになる。
「事実」
その軽さが、少しだけ救いになる。
ん??
あ、実は新作またできまし
コメント
12件
あの最高ですね !!!!!! 🥹🫶🏻 ちゃんと前に進めてる感出すのうますぎる 😭😭😭 岩井さん優しすぎる 🥲🤍 続きめっちゃ楽しみだわ ーー‼️‼️ 😽😽 新作も楽しみすぎる 🫶🏻🎀