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続きが気になります!ぜひお願いします
「はーぁ・・・面白くねー・・」
ため息をついた俺に、傑が苦笑している。真希、棘、憂太、パンダは自主練だそうだ。
「真希のこと?」
「そうだよ」
「一応聞いてあげるよ、今暇だし」
恩着せがましいな。
「パンダがさ、真希は棘か憂太に気があるって言ってきやがるんだ」
「まあ確かに悟のことなんて眼中にないも同然だったしね」
「ひっでえな」
「しょうがないだろ、事実なんだから」
たしかに思い当たる節はある・・・というか思い当たらない節がない。
真希はいつでも俺のことが嫌いだ嫌いだ、馬鹿だクズだと言ってくる。それでも惚れた女を手放すほどにはクズじゃない。
・・・と信じたい。
「ほら、あるだろ。好きな子だからいじめたくなる奴」
「小学生のやつだね、それ」
「ちっ」
「こら、舌打ちしない」
「真希」
「悟?なんだよ」
「風呂上がり?なんかあったかい」
「きっっも」
「なあ真希」
「だからなんだよ。用事があるなら手短にな」
よし!俺は覚悟を決めた!行け!俺!
「お前、好きな奴・・とか、いる?」
「はぁっ!?」
真希の顔が一気に赤く染まった。
なんだこの生き物。可愛いな。思わずその顔を見入っていると、
「見んな馬鹿」
と言われ、ちょっとだけ視線を外す。
そっぽを向いたまま真希はこう言った。
「す、好き・・・とか、そういうのは知らねえけど・・・気になるやつは、いる」
まじか・・・!?俺もう詰んだわ。
てか詰むの鬼速くね?やめてください。望みを捨てたくないです。
「じゃっ、じゃあな!」
真希は駆け足で走っていった。
「あ、ちょっと待てよ!」
俺の言葉がぎりぎり聞こえたのか、真希は止まってくれた。
「それって、憂太か棘?」
「絶対言わねえ!」
「へーぇ。見事に振られたもんだな、五条」
硝子が俺を見ていう。肝心の真希は傑と話している。
「うるせえよ」
「ま、明言はしてないんだからさ。希望くらいもってもいいんじゃない」
「・・・はぁ・・・」
ため息をついた俺に、硝子は意地悪く笑って真希の方へ歩いて行った。
あいつらほんと仲いいよな。俺も真希と話したいけど、確実に嫌われてるから無理。
昼寝でもしようかと机に突っ伏して数分経つと、何かが俺の頭をつついている感覚がした。
「悟も、こっち来ねえの?」
真希だった。
「行きます!!」
「なんで敬語?」
まあいいや、といって真希は俺の頭をわしゃわしゃかき混ぜてくる。
「やめろよー!仕返すぞ!」
「髪結んだばっかだっつーの!!」
軽口をたたきあいながら話す、今の何でもない関係でも心地よい。
傑と硝子があきらめたように、それでも笑ってくれるから俺もうれしくて、笑い返す。
まだ俺の、一方的な片思いの関係。
stay tuned.