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私
はまだベッドの上でぼーっとしながら、窓越しに広がる朝日を浴びていた。
昨日までの憂鬱な気分なんか嘘みたいに消え去っていた。
これからどんな辛いことがあっても、乗り越えられる気がした。
そうだよね? ねぇ?……
「うん! 頑張れそう!」
「え?」
独り言に返事が返ってきてびっくりして振り返ると、お母さんがそこに立っていた。
「おはよう、サーヤ」
「お、おはよう」
「ちょっと早いけど、ご飯にしましょうね」
「あぁ、そっか。うん、分かった」
時計を見ると、七時半過ぎくらいだった。
確かにいつもより少しだけ早いかもしれない。
「着替えたら下りてくるから、先に食べててもいいよ」
「あら、せっかく一緒に食べるつもりだったんだけど……嫌なのかしら?」
「いや、そういうわけじゃないけどさ。まあいいか。じゃあ、下で待ってて」
「は~い♪」
階段を降りていく足音を聞きながら、私は急いで着替えを始めた。
早くしないとお母さんが拗ねるからだ。
まったく、子供みたいな人だよ。ホントに。
***
「ごちそうさまでした」
「はい、お粗末様でした。食器はそのままにしておいて構わないわ」
「うん、ありがとう。洗い物は後でまとめてしておくね」
「お願いします。ところでサーヤ、今日は何か予定はあるのかしら?」
お母さんから突然そう聞かれたのは、昨日の夜のことだった。
「えっとね、今日は特に何もないよー」
「あらそうなの! 実は母さんたち、これから温泉旅行に行ってくるんだけど、良かったら一緒に行かない? せっかくの休みだし、たまには家族水入らずもいいかなぁと思って」
「ホント!? 行きたい!」
「ふふっ、じゃあ決まりね♪」
こうしてあたしたちは急遽、みんな揃ってのプチ旅行が決定した。