テラーノベル
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「あ、そうや、ゆうた。ずっと気になっててんけど」
「ん、なに?」
とある日の日曜。俺の部屋でくつろぎながら漫画を読んでいるゆうたに話しかける。
寝転んでジャンプを読みながらポテチを食う。……ほんまお前、想像通りすぎて可愛すぎるな。
「俺が一年の時、ずっと一人でおったやん。誰かのせいで……っていう噂はあったけど、結局誰かはわからんままやった。……けど最近、犯人が『ゆうた』ってバレてるんやけど、なんで?」
ゆうたは、それが思った以上に真剣な質問だと理解して座り直した。
そして少し視線を落として、静かに口を開く。
「……うちの高校の掲示板、あるでしょ。そこにさ、しゅうとのこと『一年の時は根暗だったのに、最近調子に乗ってる』ってバカにしてたやつがいたって友達から聞いたんだ」
ゆうたの声が少し低くなる。
「それを聞いて、俺、そこに書き込んだの。『俺がしゅうとに酷いことを言ったから、塞ぎ込んでしまったんです。元々明るくて可愛かった彼を追い詰めた犯人は、ゆうたです』って」
「……今時、ネットで自分の名前晒すやつおらんやろ」
「だって、悪いやつは、それ相応の罰を受けなきゃいけないから」
「まぁ……でも、誰が書き込んだかはわからんのやろ?」
「そうだけど……」
「……いや、ちゃうやん。それってゆうた自身にって事?」
ゆうたは寂しそうに笑った。
「俺は、しゅうとの大切な時間を奪った。だから、罰を受けなきゃいけないんだ」
「……お前、ほんまに……」
「……でも。なぜかこうやってしゅうとと付き合えて、ご褒美になってるの、ちょっと意味わかんないんだけどね」
ふふふ、と笑って俺を見つめる。
ほんまに、そうやな。俺が完全に全てを拒絶してしまう前に、お前が回収して、助け出してくれた。
「俺、しんどかった分の何倍も、ゆうたに助けられてきたで。……ほんま、ありがとうな。好きやで」
「うわぁ……珍しい。しゅうとに『好き』って言われた……」
満面の笑みで、顔を真っ赤にしているゆうた。
そのいじらしさに、俺はそっと顔を近づける。
「ん、」
「んふふ……」
「……うわぁ、ファーストキスだ」
「……いちいち言わんでええねん」
こっちも、顔が熱くなって仕方ない。
俺たちの始まりは、決していいものではなかった。
けれど、今、こうして隣で幸せを感じられているなら、それでいいと思えるんだ。
「……なんか、ポテチの味したから、ポテチ食べたくなったわ。これ、もーらい」
照れ隠しに、俺はゆうたの手元から袋を奪った。
「あ! まだ半分も食べてないのに!」
ゆうたの食べかけのコンソメパンチを、袋の上からバリバリと細かく砕く。そのまま一気に口の中に流し込むと、呆然としているゆうたと目が合った。
「……食べ方、斬新」
「この食べ方が一番うまいで? 食べる?」
さも自分のものかのように袋を突き出すと、ゆうたは「うん」と可愛く頷いた。
……と思った瞬間。
ゆうたの唇が、不意に俺のものに重なった。
「……ほんとだ、一番うまい」
ほんま! ほんまお前は……!!
いつだって俺の予想の上を斜め上に行くんやから!
「もう……俺、一生ゆうたに勝てる気せえへんわ」
「じゃあ、このポテチは俺のもんやな! 返してもらうさかいに!」
「どこで覚えてん、そんなコテコテな大阪弁」
ゆうたのいつものマイペースぶりに、ふふ、と笑いが漏れる。
幸せすぎて、もう過去の話なんてどこかへ飛んでいってしまった。
俺たちは、もう一度。
さっきよりも少しだけ長く、三度目のファーストキスをした。
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ライラ からぴち・シクフォニ♡
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