※甚だしい捏造
※非日常な日常話
※実在の人物、団体とは一切関係ありません。
※軍パロです。
※以上をふまえて大丈夫な方のみおすすめください。
ゆっくりしていってね
何やこれ。
叫ぶしんぺい神の声が、震えている。
「芽どころやない。葉もないのに、もうエミさんの目に、でかいつぼみ付けとるで……」
「えっ」
「成長早いだけやない。レントゲン画像見てわかったと思うけど、根っこが眼球侵略しとる」
「……しんぺい神さん、ここ……」
エーミールが震える指で、レントゲンの画像の一部分を指し示す。
怪しげな生物兵器は、エーミールの右眼球を侵食しているだけではなく、その触手は視神経を伝い、更に奥まで伸びようとしていた。
「……マズい。成長が早すぎる」
「何が原因でどういう効果を引き起こすかわからんが、悠長に調べているヒマはあらへん」
「迷っとるヒマはない。すぐに摘出手術するで、エミさん」
「わかりまs……」
突然、エーミールの鼓膜の内側で、でかい鐘の音のような音が鳴り響く。
「グッ!! あ”、あア”……ッ!!」
頭が痛いなんてものじゃない。
潰されそうだ。苦しい。
突然倒れ、のたうち回るエーミール姿は、最早異様としか言いようがなかった。
ゾムの戻るのを待っていられない。
しんぺい神は緊急用のマイクのスイッチを入れると、幹部棟に一斉にスピーカーで緊急サイレンを鳴らす。
「敵襲ッ!! エミさんがやられたッ! 幹部は医務室に集合ッ!!」
緊急事態となれば、皆動きは早い。
ゾムとトントン、グルッペン以外の幹部は、素早く医務室に集まった。
「何事や、しんぺいさんッ!」
「エミさんやられたって、マジか!?」
「って、ちゃうわ!エミさん生きとる…けど!」
エーミールがやられたという情報に、血相を変えて飛んできた幹部達は、痛みでのたうち回るエーミールの姿に、更に顔を青ざめさせた。
戦闘は得意ではない。けれども人一倍我慢強いエーミールが、我を忘れるほどに痛みで騒ぎ立てるのが、信じられなかった。
「ぺ神……。何があったんや」
「偵察中に襲撃受けたらしい。未知のBかC兵器で、右目を侵食されておる。今、ゾムに頼んで、トントンとグルッペンに、情報当たってもらうよう頼んではおるが…」
「うわっ…。目から芽が…、いや、もう花が咲きそうやん!」
「せやねん!もう目ン中まで侵食されておる! 誰かこの症状、知らんか?」
しんぺい神らしからぬ慌てぶりだったが、心当たりなど誰にもない。
一様に顔を見合わせたものの、誰もが首を左右に振るしかなかった。
「と、とにかく、この何かわからん植物、引っこ抜こう! エミさんの目ごとえぐり出すことンなるが…」
「四の五の言うとる場合とちゃうな。放っとくと、もっとヤバいことなりそうや」
「麻酔とか、悠長なこと言うとる時間もない! 理由はないが、花が咲いてもたら、何かヤバそうや!」
「しんぺいさん! 一旦、メスと消毒液!」
「エミさん!痛いやろが堪忍な?!」
数人がかりでのたうち回るエーミールを押さえつけ、緊急摘出手術を行おうとした。
その時。
「う、うがぁぁうぁぁぁッッッ!!!!」
幹部の中では、エーミールは非戦闘員として位置づけられることが多い。
そんなエーミールが、歴戦の戦士でもある幹部達を一気に吹き飛ばしてしまった。
続く