〜side星導〜
昼休み
屋上の扉を開けると既に小柳君が柵に背もたれてコンクリに座っている
俺も隣に座り袋から弁当を出す
小柳君は紙袋からパンとコーヒー牛乳を出してパンの袋を開けている
「え、それだけ?」
「ん?うん」
「足りなくない?」
俺は弁当の中からタコさんウインナーを箸で摘み、小柳君の顔の前に差し出す
小柳君はタコさんウインナーを見ながら口を開いた
か、可愛い過ぎる!
開けられた口元にタコさんウインナーを運ぶ
パクッと食い付きもぐもぐしてる
もう一度見たい‥‥
卵焼きを食べやすい大きさに切り、また口元へと箸を運ぶ
「ん?もう良いよ。お前の分無くなるじゃん」
「‥‥‥‥」
無言で顔の前に出し続ける
困った顔で俺と卵焼きを見ながら口を開く
パクッ‥‥もぐもぐ‥‥
可愛い
なんでこんなに可愛いんだろう
卵焼きを飲み込みながら小柳君が下唇を舌でペロリと舐めた
それを見た俺の鼓動が大きくなる
雛鳥に餌付けする親鳥の気分でいたけど違ったっぽい
唇から目が離せない俺はただのエロガキと変わらない
昼飯を済ませて教室に帰る
次の授業の本を取り出すと俺の前に小柳君がやってきた
「今日帰りどっか行く?」
「別に行かなくて良いかな」
「じゃあウチ来てゲームでもしてく?」
基本的にどこにも寄るところがない時はいつもゲームしに小柳君の家にお邪魔している
「うん、そうし‥‥」
「え、ゲームすんの?」
俺が言いかけると、ウェンがひょっこり顔を出す
「ロウんちで?何のゲームするの?」
「ん?ウェンも来るならエペでもする?」
「お、楽しそう。俺も行っちゃおうかな」
ウェンが俺を見ながら何か言いたげにニヤニヤしてる
俺は澄ました顔でウェンを見る
「良いんじゃない?」
「ふーん、そう?」
ウェンがポケットからスマホを取り出す
「あ、俺予定あったんだわ。残念‥‥また今度誘ってよ」
「おう、分かった」
「‥‥‥最初から誘ってないけどね」
「え?なんか言った?星導」
「また今度な!」
「うん、今度絶対な!」
「‥‥お前らって仲悪かったか?」
「「いや、全然」」
ハモった俺たちを交互に見て、小柳君が首を傾げる
授業が終わり小柳君の部屋の中
俺はいつも決まって座る場所に座る
ソファーではなく、ふかふかの絨毯の上
着替えを済ませた小柳君と並んで座る
俺は床に手を付き、ゲームをプレイしている小柳君の横顔を見つめる
「うわぁ、負けたわ‥‥悔しいっ」
コントローラーをテーブルの上に放り投げ、両手を床につけた
その手と俺の手が触れる
「あ、ごめん!」
「‥‥‥‥」
触れ合った小柳君の小指を俺の小指で絡める
「‥‥星導?」
「‥‥‥‥」
何事かと俺を見てる
俺は小柳君に身体を傾けた
互いの距離が近づき、小柳君は黙って俺を見ている
あと少し
触れられそうな距離
「ただいま!遅くなってごめんね」
小柳君の母親の声
俺は慌てて小柳君と距離をとる
「星導君も来てるの?夕ご飯食べていく?」
「あ、大丈夫です!」
一階に聞こえるように大声で話す
そして急いでカバンを手にして立ち上がる
「星導?」
「俺、帰るね」
「え、ちょっ‥‥」
小柳君の母親に挨拶を済ませて急いで家を出る
いつもはそんな事なかったのに
急に手が出そうになってしまった
「ヤバい‥‥気をつけないと」
でも無自覚な場合はどうしたら良い?
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コメント
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るべろう書いてくださって感謝です! もうキュンキュンしながら見てます。学パロにしたのナイスすぎます!