テラーノベル
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翌朝。 窓から差し込む朝日に、僕はゆっくりと目を開けた。
pn「……ん……」
ぼんやりと天井を見つめる。
昨日の出来事が、頭の中に浮かんできた。
森で出会った魔物。
黒に近い灰色の毛。
鋭い爪。
そして――赤い瞳。
僕を見ていた。
正確には、僕の胸元にあるペンダントを。
pn「……」
僕は胸元に手を当てた。
黄色いペンダント。
ずっと肌身離さずつけている。
あの日。
必死に逃げていた僕の手を、母さんが強く握っていた。
遠くから聞こえる怒鳴り声。
追ってくる足音。
怖くて、何が起きているのかも分からなかった。
そんな中で、母さんは立ち止まった。
そして、このペンダントを僕の首にかけてくれた。
――そのときのことだけは、今でも覚えている。
けれど。
どうして今になってそのことを話したのか。
この先、何があるのか。
母さんはどうなったのか。
それはまだ分からない。
ただ。
これだけは手放してはいけない。
そんな気持ちだけが残っていた。
pn「……昨日、熱くなったよな」
ペンダントを指でつまむ。
何も起こらない。
昨日のことが嘘だったみたいに、いつもの黄色い石に戻っている。
pn「……魔物も、このペンダントを見てたし」
考えても分からない。
僕は小さく息を吐いた。
pn「……朝ご飯、行こう」
ベッドから起き上がり、部屋を出る。
廊下を歩いていると――
md「ペンサーン!」
pn「うわっ」
前から、みどりくんがふわふわと飛んできた。
md「オハヨー!」
pn「おはよう、みどりくん」
md「ゲンキ?」
pn「うん。元気だよ」
md「ホント?」
pn「本当」
md「ヨカッタ!」
みどりくんは嬉しそうに僕の周りをくるくる回る。
md「キノウノ、コワカッタ?」
pn「……ちょっとね」
md「ボクモ!」
pn「みどりくんも怖かったんだ」
md「ウン!デッカカッタ!」
みどりくんが両手をいっぱいに広げる。
md「コーンナニ!」
pn「いや、大きすぎない?」
md「エ?」
pn「それだと館より大きいよ」
md「……ソレハ、オオキスギル」
pn「自分で言ったじゃん」
md「デモ、コワカッタ」
みどりくんが少しだけしょんぼりする。
pn「……まあ、僕も怖かったけどね」
md「イッショ!」
pn「うん。一緒」
そう言うと、みどりくんは嬉しそうに笑った。
そのとき。
kyo「朝から何してんねん」
後ろから声がした。
振り返ると、きょーさんが立っている。
md「キョーサン!」
kyo「おはようさん」
pn「おはようございます」
kyo「昨日のこと、まだ気にしてんのか?」
pn「……少し」
kyo「まあ、しゃーないわな」
きょーさんは僕の頭を軽く撫でる。
kyo「飯食ったら、ちょっとは忘れるやろ」
pn「そんな単純かな……」
kyo「腹減ってるとロクなこと考えへんねん」
pn「それはきょーさんだけじゃないですか?」
kyo「なんやと?」
md「キョーサン、オナカスイテル?」
kyo「お前まで乗るなや」
僕は思わず笑った。
昨日の恐怖が、少しずつ薄れていく。
この館に来てから。
こういう時間が増えた気がする。
食堂に入る。
テーブルには、焼きたてのパンとスープ。
卵料理まで並んでいた。
ru「おはよ〜」
pn「おはよう、レウさん」
ru「昨日は大変だったね。怪我はない?」
pn「大丈夫だよ」
ru「それならよかった」
レウさんは優しく笑う。
ru「今日は少し多めに作ったよ。たくさん食べてね」
pn「ありがとう」
席につき、パンを一口食べる。
pn「……おいしい」
ru「ふふ。よかった」
その隣では、コンちゃんが小さな瓶を眺めている。
pn「コンちゃん、それ何?」
kn「ん?」
コンちゃんが瓶を持ち上げる。
中には紫色の液体が入っていた。
kn「実験用」
pn「実験してるの?」
kn「うん」
pn「何の?」
kn「秘密」
pn「……そうですか」
コンちゃんは楽しそうに笑った。
しばらくすると、食堂の扉が開く。
rd「おはよー」
pn「おはよう、らっだぁ」
らっだぁが入ってきた。
しかし、入ってきてそうそう視線が僕の胸元で止まった。
rd「……そのペンダント」
pn「これ?」
rd「うん」
らっだぁは少しだけ眉を寄せた。
rd「前から思ってたんだけどさ」
pn「?」
rd「それ……どこかで見たことある気がする」
pn「そうなの?」
rd「うん。でも、どこで見たのかは分からない」
僕もペンダントを見る。
pn「小さい時からずっと持ってるの」
rd「小さい時から?」
pn「うん。いつから持ってたのかは分かんないけど…」
「魔女狩りから逃げてる時に母さんが絶対このペンダントは離すなって…」
らっだぁの顔から、一瞬だけ笑みが消えた。
rd「……魔女狩り」
pn「うん」
僕はペンダントを握る。
母さんの手。
震える声。
ずっと肌身離さず持っている黄色いペンダント。
これにはなんの意味があるのかは分からない。
何故持っているのかも
らっだぁは、まじまじとペンダントを見つめている。
その表情は、少しだけ複雑だった。
そこへ、きょーさんが口を開く。
kyo「そういや昨日の魔物やけどな」
空気が変わった。
kyo「あれ、普通の魔物ちゃうと思う」
ru「俺もそう思う」
kn「俺も」
md「コワイ?」
kyo「まあ、見た目からしてな」
きょーさんは腕を組む。
kyo「それに、あいつ……ぺんさんのペンダントのことを見てたやろ」
rd「うん」
らっだぁが頷く。
rd「昨日、明らかにそれを見てた」
pn「……」
僕はペンダントを握った。
すると――
ほんの少しだけ。
黄色い石が熱を持った。
pn「……っ」
rd「どうした?」
pn「また……」
ペンダントが熱い。 昨日ほどではない。
でも、確かに胸の奥まで響くような温かさだった。
pn「……なんで」
その瞬間。
頭の中に、声が響いた。
『大丈夫だから』
pn「……!」
視界が一瞬だけ暗くなる。
誰かの姿。
顔は見えない。
ただ、優しい声。
『俺がいるから』
pn「……誰……?」
次の瞬間、映像が消えた。
僕は目を開く。
目の前には食堂がある。
みんなが僕を見ていた。
rd「ぺいんと?」
pn「……大丈夫」
僕は胸元を押さえる。
pn「ちょっと、変な声が聞こえただけ」
kyo「声?」
pn「うん……」
らっだぁが僕を見る。
その目が、ほんの少し揺れた。
rd「……どんな声?」
pn「分からない」
僕は首を振る。
pn「でも……」
なぜか安心する。
pn「優しい声だった」
らっだぁは黙った。
しばらくして。
rd「……そっか」
それだけ言って、視線を逸らした。
_____________________
館から離れた森の奥。
昨日の魔物が木々の間に立っていた。
??「……また反応した」
赤い瞳が館を見る。
??「あの力が……」
黒い靄が揺らめく。
??「目を覚まし始めている」
魔物はしばらく館を見つめた。
??「……まだ早い」
そして。
??「まだ、誰にも知られてはいけない」
森の奥へ姿を消す。
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ru「ぺいんとくん、おかわりはどう?」
pn「お願いします!」
ru「はい。どうぞ」
pn「ありがとうございます」
僕は二杯目のスープを受け取る。
温かい。 美味しい。
みどりくんは隣でパンを食べている。
md「オイシイ!」
pn「よかったね」
md「ウン!」
きょーさんはそんな僕たちを見て笑っている。
コンちゃんは相変わらず実験道具を弄っている。
らっだぁは、静かにこちらを見ていた。
少し前に出会ったばかりの人たち。 それなのに。
不思議と、この場所にいると落ち着く。
僕は胸元のペンダントを握った。 母さんからもらったもの。
あの日から、ずっと僕を守ってくれているもの。
なぜこれに魔物が反応したのか。
どうして昨日、熱くなったのか。
まだ何も分からない。
ただ――
このペンダントには。
僕の知らない何かがある。
そんな気がした。
#らだぺん
コメント
1件
ああ〜〜第8話もすごかった!!😭💕 ペンダントが熱くなって「大丈夫だから」って声が聞こえたシーン、めっちゃエモすぎて鳥肌立ったよ…!誰の声なんだろうね、母さん?それとも別の誰か? みどりくんとの朝のやりとりも可愛くてほっこりしたし、館のみんなとの日常が温かくて、でもペンダントの謎がどんどん深まってて続きが気になって仕方ない!!雨月さんの世界観、毎回引き込まれるわ〜✨