モブ「」
チュンチュン
『ぁ?あれ?朝か』
スマホを見ると
9時27分
そこそこいい時間まで寝てしまったな…
あ、そうだふわっちは?
あたりを見渡してみると置き手紙だけが残されていた
三枝明菜へ
用事があるから先に行くね
ばいばい
不破湊
明那の漢字違うし…
でも殴り書きで書かれたこの手紙を見ると
なんだか心があったかくて
昨日の夢か現実かわからない出来事に
現実性をおびさせる
あ!連絡先聞いてない…!
お礼したかったのにな…
またどこかで会えるかな…
たった一夜ともにしただけだけど
彼といる時の独特な雰囲気が
なぜだか俺は心地よかった
それからというもの
どこか街中であの綺麗な顔を探してしまう
もう一度会いたい
もっと話がしてみたい
単純な興味からなのか
それとも別の…
とにかく俺はずっと気になって仕方がなかった
「今日も探してんの?」
『うーんでも見つかんないんだよね』
「そりゃそうだろ?この世界に人間が何人いると思ってんだ」
『確かに…』
この人数から出会うだなんてきっと不可能なんだろうな…
そんなことを考えていると
遠くに紫の髪がみえた
あ、あ!
あれ!
俺は人混みをかき分けながら必死に走る
『ふわっち!!』
[へ?]
『よかった!また会えた』
[ぁ、あぁ、えっと]
ふわっちは少し困った顔をして右下をむく
あ、これ忘れられてる感じか…?
内心ちょっと傷つきつつも
ふわっちに会えた喜びで心が舞い上がっている
『俺!この前道端で助けてもらった三枝明那!』
[あー!明那か!]
よかった覚えてもらえていた
『あ!そうだ連絡先聞いていい?』
[ええよー!]
『やったー!』
よしふわっちのLINEゲット
これでもっと彼に近づける
彼のことをしれる
『これから時間ある?』
『カフェでもいかない?俺、ふわっちのこともっと知りたい』
[…ええよ]
やっと出会えたんだ
これぐらい距離つめてもいいよね
カフェではいろんな話をした
好きなもの、嫌いなもの、趣味様々な話題で盛り上がった
[はー明那と話すのやっぱ楽しいわ!]
『…!俺もめっちゃ楽しい』
幸せな空間だ
[なぁ、明那。]
[もしもさ…もしも…]
突然ふわっちが真剣な顔で話を始めた
どうしたのだろう
『もしも…?』
[もしも、俺が…いや、俺の…、]
[…]
[やっぱなんでもない!!]
『えー!?なにそれー!』
[にゃははごめんてー]
びっくりした
ふわっちが突然真剣な顔をするから
あんなに不安そうな顔をするから
ふわっち、一体なにを話そうとしていたの?
『あーやばいそろそろ帰らないと』
[おーそっかもうこんな時間かぁ]
楽しい時間はあっという間で気がつけば帰らなければいけない時間になっていた
[なー明那ホテルってどこにあるか知ってる?]
[今日、ホテルに泊まろうと思ってて]
ふわっち今日もホテルなのか
『あーこの前のところ?』
[…?この前…?]
?なんだその反応
『ほら!俺たち二人で泊まったホテルだよ』
[ぁー?うん、ぅん]
なんだろう何か違和感を感じる
まるで覚えていないことを聞かれた時のような反応…
『二人で二つの部屋借りて泊まったじゃん!』
本当は一つの部屋だったものを少し鎌をかけてみる
[ぁー!そうそうそこ!]
案の定ふわっちは罠にかかった
覚えていない…のか?
あの日のことを
『ねぇ、ふわっち』
『覚えてないの?』
コメント
4件
す、すきです…💘😭
二話連続ありがとうございます!次、何か起こる予感…
なんだか切ない展開になりそう……、 新シリーズありがとうございます!!密かに生きる糧にしてます