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「俺、お前のこと好きなんだよね」
あの言葉が、ずっと頭から離れない。
授業が始まっているのに、黒板の文字がほとんど頭に入ってこなかった。
好き。
相川が?
俺を?
何度考えても、現実味がない。
そもそも俺と相川は、そんなに仲がいいわけじゃない。
同じクラスになってから、たまに挨拶したり少し話すくらい。
それなのに、なんで俺なんだろう。
そんなことを考えていると、机の上に小さく紙が置かれた。
振り返ると、斜め後ろの席の相川がこっちを見ている。
紙にはこう書いてあった。
『授業ちゃんと聞いてる?』
思わず小さく息が漏れる。
……絶対バレてる。
ペンを取って、下に書き足した。
『聞いてる』
それを後ろに渡すと、すぐにまた紙が返ってきた。
『嘘だな』
思わず振り返ると、相川がくすっと笑った。
「春川」
小さく名前を呼ばれる。
「なに」
「さっきのこと考えてただろ」
図星だった。
「……別に」
そう言うと、相川は少しだけ目を細めた。
「顔に出てる」
「出てない」
「出てる」
小さな声でそんなやり取りをしていると、相川が少しだけ身を乗り出してきた。
斜め後ろの席だから、顔は見えない。
でも、近くにいるのは分かる。
「湊」
名前で呼ばれて、また振り返る。
相川の黒髪のマッシュが少し揺れて、目が合った。
「……なに」
「俺がお前のこと好きって言ったの」
少しだけ間が空く。
「ちゃんと本気だから」
思っていたより、まっすぐな声だった。
思わず目をそらす。
「……なんで俺」
小さく聞くと、相川は少し考えるみたいに視線を上げた。
「二年になってからかな」
「え?」
「同じクラスになってさ」
少し笑う。
「お前、ぼーっとしてるだろ」
「……よく言われる」
「放っておけないんだよな」
その言葉に、胸が少しだけざわつく。
「気づいたら好きになってた」
その笑顔を見た瞬間、なぜか胸が少しだけ苦しくなった。
……なんでだろう。
相川に「好き」って言われただけなのに。
なのに、さっきからずっと心臓が落ち着かない。
これからの学校生活どうしようか…。