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みなさんこんばんはtakuです。
たくさんのいいねありがとうございました。
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■譲れない二人
僕の震える声が切り裂いたあと、
一瞬だけ訪れた静寂は、
決して穏やかなものではなかった。
かっちゃんと轟くんは、
互いを見たまま一歩も引かない。
僕は涙を拭う間もなく、
胸の鼓動だけが速くなっていく。
(……やめて、これ以上……)
けれど二人はもう止まれなかった。
かっちゃんが先に、唇を歪めた。
「……なぁ、轟」
低く、押しつけるような声。
轟くんは視線だけで応じる。
「お前、本気でデクのこと……どう思ってんだよ」
デクの呼吸が止まる。
轟はしばらく沈黙した。
その沈黙に、かっちゃんの喉が怒りに震える。
「言えねぇのかよ」
「……言えるわけがないだろ。本人の前で」
「俺は言える」
かっちゃんの目が燃えるように赤く光った。
「デクが……大事だ。離れられねぇほどな」
僕の胸がぎゅっと締め付けられる。
轟くんが、爆豪の言葉を逃さないように噛み締める。
「……そんなの、俺だって同じだ」
静かだけど、深く、揺るぎなく。
かっちゃんが一歩踏み出す。
「だったらなんで……アイツ苦しませてんだよ」
「それはお前もだろう」
「違ぇよ。俺は……っ」
かっちゃんは言葉を詰まらせ、
拳を握りしめた。
「俺は……デクに守られたくなんかねぇ。守りてぇんだよ……ずっと」
僕の心臓が跳ねる。
轟くんの顔に、驚きと、怒りにも似た感情が交錯した。
「……出久は、守られるだけの存在じゃない」
「わかってらぁよ!! アイツがどれだけ頑張ってきたか……俺が一番、知ってんだよ!!」
怒鳴りながら、かっちゃんの声は震えていた。
僕は胸が苦しくなり、思わず口元を押さえる。
(かっちゃん……)
轟くんはゆっくりと、しかし真っ直ぐに言葉を返した。
「俺は……出久を“対等”だと思ってる」
かっちゃんの目が険しくなる。
「テメェ……」
「守りたいと思う気持ちもあるけど、支えられたい時だってある。
弱さだって、共有できる相手なんだ」
轟くんの視線がデクへ向けられる。
「……それが、俺の“好き”だ」
僕の胸が跳ね、喉がかすかに音を立てた。
かっちゃんがその視線を遮るように一歩踏み込む。
「デクはなぁ……そんな簡単に言葉で抱えていい存在じゃねぇよ」
轟くんの眉がわずかに寄る。
「簡単に言ってなどない」
「だったら言えよ。どれだけデクが好きなのか、どれだけ欲しいのか——」
僕の頬が熱くなる。
「全部言ってみろよ。俺は言えるぞ」
轟くんはかっちゃんを睨み返す。
そして、静かに。
「……欲しい」
かっちゃんの呼吸が止まった。
デクの心臓が、痛いほど跳ねた。
轟くんは続ける。
「出久が、笑うところも、悩むところも……全部、そばで見たい。
ただの仲間じゃなくて… それ以上”に」
かっちゃんの顔が、怒りでも悔しさでもない、説明できない感情で歪む。
「テメェ……先に言いやがって……」
「お前が言えと言ったんだ」
「……クソが」
言葉とは裏腹に、爆豪の瞳は揺れていた。
僕は二人の言葉に胸が苦しくなり、
声を絞り出す。
「や、やめて……二人とも……」
しかし二人は僕の方へ向き直り、今度は僕を見たまま、互いに向かって語り始める。
かっちゃんが言う。
「俺は……アイツの全部を背負いてぇんだよ」
轟くんが返す。
「俺は、アイツの“全部”に触れたい」
二人の視線が廊下でぶつかる。
そして同時に言う。
「――譲れねぇ」
その瞬間、デクの呼吸が詰まり、胸に熱がこみ上げた。
二人の想いが、ぶつかりあって軋んでいる。
どちらも本気で、どちらも強く、どちらも痛いほど真っ直ぐで。
その中心で、僕は震えていた。
(僕は……どうしたら……)
もうどちらが悪いとか、
そういう問題じゃない。
二人とも、僕を選んでしまった。
そしてその選択は、もう後戻りできないところまで来ている。
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