テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
【彼女が他の男を褒めたら】
カフェの窓際、私はラテを片手にスマホをいじっていた。
SNSをスクロールしていると、人気俳優の写真がタイムラインに流れてくる。
「やっぱりこの人、かっこいいなぁ…」
思わず小さくつぶやいた瞬間、目の前の彼の動きが止まった。
「へぇ…」
カップを口に運びかけていた彼は、わざとらしく視線を外す。
「俺の目の前で、他の男褒めるんだ」
「え、ち、違うよ!そういう意味じゃ…」
慌てて否定すると、彼は片眉を上げて、にやりと笑った。
「そういう意味じゃないって?でも、ちょっと気になるな」
ラテを置き、彼はテーブル越しに少し身を乗り出す。
その距離感に、私の心臓が勝手に騒ぎ出す。
「じゃあ…その人より、俺の方がかっこいいって言って」
「…えっ」
「言えないなら、俺、しばらく黙る」
そう言って本当に口を閉ざし、ストローでアイスコーヒーをかき混ぜ続ける彼。
沈黙が苦しくて、私は小さな声でつぶやいた。
「…亮くんの方がかっこいいです」
「聞こえないな」
「…亮くんの方が、ずっとかっこいいです!」
その瞬間、彼は満足げに笑い、カップを口に運んだ。
「うん、それでいい」
不意に視線を上げたら、その笑顔があまりにも反則で、また胸がぎゅっと締めつけられた。