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パンチングマシーンニキ
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shima7a
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#前世
shima7a
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第 118話 「受け継ぐ日」2027年8月。
夏の甲子園から帰ってきて、数日。
柳城高校では、福間監督の勇退式が行われることになった。
体育館。
そこには野球部員だけではなく、学校関係者、卒業生、そして歴代の柳城高校野球部員たちも集まっていた。
舞も。
塁も。
史陽も。
そして、これまで福間監督とともに戦ってきた多くの卒業生が駆けつけていた。
壇上に福間監督が立つ。
いつものユニフォームではない。
スーツ姿だった。
その姿を見た啓介は、少し寂しさを感じた。
校長から花束が渡される。
「長い間、柳城高校野球部を支えていただき、本当にありがとうございました。」
大きな拍手が体育館を包む。
福間監督は深く頭を下げる。
そして、マイクの前へ。
「長い間、お世話になりました。」
静かな声だった。
「私は今日で、柳城高校野球部の監督を退きます。」
少し間を置く。
「最後の夏。」
「選手たちと甲子園へ行くことができました。」
「準決勝で負けました。」
「日本一にはなれませんでした。」
福間監督は笑った。
「でも。」
「私は幸せでした。」
会場が静まり返る。
「野球は、一人ではできません。」
「監督だけでもできません。」
「レギュラーだけでもできません。」
「試合に出られなかった選手。」
「毎日グラウンドを整備してくれた選手。」
「声を出してくれた選手。」
「そして、家族や先生方。」
「たくさんの人がいたから、柳城高校は甲子園まで行くことができました。」
福間監督は、ゆっくりと選手たちを見る。
「これからも、そのことを忘れないでください。」
大きな拍手。
そして。
福間監督が啓介を見る。
「そして。」
「私の後を引き継いでくれる男がいます。」
啓介が立ち上がる。
福間監督は続けた。
「小早川啓介。」
「彼は柳城高校の卒業生です。」
「選手として。」
「大学生として。」
「教師として。」
「そして、部長として。」
柳城高校野球部と歩んできました。
「私は。」
「彼なら、このチームを任せられると思っています。」
啓介の目に涙が浮かぶ。
福間監督が啓介へ歩いていく。
そして。
一本のバットを手渡す。
啓介は両手で受け取った。
「これは、私が長年使ってきたバットです。」
「もう私には必要ありません。」
「これからは、君が使ってください。」
啓介はバットを見つめる。
「先生。」
福間監督は首を横に振る。
「違います。」
「これは、私から君へのものではありません。」
「これまで柳城高校で野球をしてきた、すべての人から君へのバトンです。」
啓介は深く頭を下げる。
「はい。」
そしてマイクの前へ。
「今日から、僕が柳城高校野球部の監督になります。」
「福間監督が作ってきた柳城高校の伝統を大切にしながら。」
「僕自身の野球を作っていきたいと思います。」
「そして。」
「選手一人ひとりと向き合える監督になります。」
会場から拍手が起こる。
福間監督も拍手を送る。
式が終わる。
夕方。
グラウンド。
福間監督は最後に一人でグラウンドを歩く。
マウンド。
ホームベース。
三塁側ベンチ。
そして。
長年座り続けた監督席。
すべてをゆっくり見て回る。
そこへ啓介が来る。
「先生。」
「はい。」
「今日で、本当に最後ですね。」
福間監督は笑う。
「そうですね。」
啓介が頭を下げる。
「先生。」
「今まで、本当にありがとうございました。」
福間監督は啓介の肩に手を置く。
「こちらこそ。」
「啓介。」
「はい。」
「明日からは、私を追い越してください。」
啓介は驚く。
「そんな……。」
「監督なら。」
「前の監督を超えるくらいでいいんです。」
「それが、伝統を受け継ぐということです。」
啓介は涙を拭う。
「はい。」
福間監督は最後にグラウンドを見渡す。
そして。
深く一礼する。
啓介も隣で一礼する。
夕暮れ。
福間監督はグラウンドを後にする。
その背中を、啓介は見送った。
そして翌日。
柳城高校野球部に、新しい朝が来る。
「小早川監督。」
初めてそう呼ばれた啓介は、少し戸惑いながら振り返る。
「はい!」
選手たちの声が響く。
啓介はグラウンドへ歩き出す。
福間監督から受け取ったバットを手に。
ここから。
小早川啓介の監督としての物語が始まる。
第118話 終
コメント
1件
おつかれさまです、天海カオルさん!第118話読み終わったわ〜。 福間監督の勇退式、めっちゃグッときた…。直接的なバトルシーンはないけど、「継承」ってテーマだけでここまで泣かせるのはさすがだわ。特に「私を追い越してください」って台詞、ガチで刺さった。歴代の柳城の想いが詰まったバットを渡す演出も熱すぎる。 啓介が「小早川監督」って呼ばれて一瞬戸惑う描写、新しい章の始まりを感じさせてすごく良かった!これからの物語も楽しみにしてる🔥