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「はじめまして、橋本と言います。見た目も中身も平均点な男で、趣味はかわいい女の子のお尻を追いかけることです。仕事は恭介の専属ドライバーをしています。どうぞよろしく!」

榊が説明する前に、橋本から自己紹介した。

流暢な言葉が出てくるのは、合コンで必ず自己紹介をしているから――ツッコミどろこ満載な内容を聞いて、女性はありえないとガードが緩くなる上に、出席している男性陣からはこんなチャラチャラしたヤツは敵じゃねぇなと、思わせる戦略が施されていた。

そして目の前にいる小柄な男性も、橋本の自己紹介を聞いて、さっきまで漂わせていた警戒心を解いてくれたらしい。興味津々なまなざしで、まじまじと橋本を見つめた。

その視線を受けながら、よぉく観察してみると、小柄な男性はなかなか愛らしい顔立ちをしていることが分かった。柔らかそうな髪の下にある大きな瞳が、可愛らしさを誇張していて、さしずめ小動物と表現したらぴったりかもしれない。

案外、ウサギの耳を頭につけたら、あまりの可愛らしさに、隣にいる榊が撃ち抜かれてしまうかもなと考えて視線を移してみたら、警戒するような目で睨まれてしまった。

仲のいい橋本に見せるその姿に、ふたりの関係性が何であるかが、すぐに分かった。


(さしずめ恭介は、子ウサギちゃんを守る番犬と言ったところか。恭介のフォルムから想像すると、飼い主に忠実なドーベルマンあたりが妥当だろうな。睨んでくる感じが、結構そっくりかも)


「まぁまぁ、そんな顔して怒るなって。恭介が大好きなそのコを、捕って食ったりしないから」


橋本の言葉に、榊の表情が一気に変わる。驚いて目をたじたじさせる様子は、普段は見られないものだった。


「恭ちゃん……」


弱り切った表情で、小柄な男性が榊を見上げながら、スーツの袖をぐいぐい引っ張った。その僅かな振動で躰が揺れても反応せずに、不安な感情が滲み出ている強張った顔をそのままに、榊は目の前にいる橋本を見つめた。

仕事で車を運転させる相手、しかも仲良くなった間柄だからこそ告げられないだろう。自分が同性愛者だっていうことは。

不器用なふたり この想いをトップスピードにのせて

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