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__ウパパロン side__
「俺の過去……いや、これからの話も聞いてくれますか?」
緊張しながら言葉を発する。助けてくれた上にさらにお願いを重ねるのは気が引けたが、俺にはそうしなければならない理由があった。
いえもん「すぐにでも聞きたいところなんですが、先に俺の話をしていいですか?めめさんに話していないことがあったので」
聞いてもらえるだけありがたい。正直な話、そんなことは自分達に関係ないと一蹴されると思っていた。
俺はその旨を伝える。
いえもん「俺達そんな酷い人じゃありませんってww」
いえもん「まぁ、手短に説明します」
やけに笑いのツボが浅いなこの人。そして一瞬で表情を直せるという、笑い上戸にしては珍しいタイプだと感じた。
悪い人じゃなさそう…。本当に。
__いえもん side__
俺はあの時のことを自らの頭の中で思い出しながら説明する。
いえもん「お前……嘘、ついたな?」
青年「ははっ、お前ら相手に破らない約束なんてするわけないじゃん」
青年が嘘を言わない、という条件で俺たちは彼を解放したのだ。
正直なことを言う代わりに、青年のこと殺さないという取引が成立しなくなった。
取引失敗。
俺がこの青年を殺さない理由はない。
俺は自分に掛けている剣の持ち手を握り、少しずつ距離を詰める。慎重に、不意打ちなどないように、気を張りながらゆっくり歩み寄る。
青年「俺を殺す気?っふww」
いえもん「何が面白い?」
青年「ごめんごめんwww 必死過ぎて」
こいつ…完全に開き直ってるな…。いや、元々おかしかったのが露見しただけか。
どちらにせよ青年の様子がおかしくなったので、俺は近づくのを辞めて観察に徹する。
青年は、「っは〜」と息を吐いて気持ちを落ち着かせた後、顔をしかめて俺の方を見る。
青年「人外の端くれが水龍様に近づくな」
「人外の端くれ」とは、能魔者に対する差別用語の一つである。能力や魔力を持った者を人間として認めない、人外と同じような物という嫌味が含まれている。
「人外の端くれ」が能力者である俺のことを指しているのは分かった。「『水龍様』に近づくな」というのは、「『水龍』について嗅ぎ回るな」といえことだろうか。イマイチピンときていない。
青年「お前は『水龍様』の恐ろしさを知らないんだ」
青年「今に見せてやるよ」
どうやって見せ__
いえもん「!?」
青年が、背後の池の縁に立つ。うっとりとした様子でその水底を見つめ、笑みを浮かべる。
青年「お前に殺されるくらいなら、『水龍様』に身を捧げる方がよっぽどいい。いや、比べては『水龍様』に失礼だ。」
青年は、体を池の方へと傾ける。
青年「『水龍様』の御力!見るがよい!!」
そのままバシャンと音を立てて水の中に消えて行ってしまった。青年を見ようと、水面に向かって走りかけたが、先程の青年の言葉を思い出し留まる。
あの言葉が正しければ、『水龍』が何かしらの攻撃をこちらに放ってくる可能性が高い。
しばらく周りの様子を伺うが、全くと言っていいほど何も変化がなかった。
俺は恐る恐る水面に近づき、屈んで下を見る。随分と澄んだ水だったが、人のような影ご見られず泡も浮かんでいない。
これは、そういうことなのだろうか。
青年が架空の宗教に騙された結果の窒息によるものなのか、本当に『水龍』という存在の生贄になったのか、俺には判別がつかなかった。
はい!今回はここまでです。めめさん達に向かって話す、というより私達に語るようになってしまいました。ムズカシイ……
今回の補足です。といっても大したことはないのですが、今回のラストが第18話の冒頭に繋がります。ほんと、それだけです。
それじゃあ今日はここまでで!また来てね!