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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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「凪ちゃん」

「どうしたんですか?」

「俺、死にたいよぉ」

セラ夫は瞳に涙を浮かべて言った。

「どうして、ですか?」

私は今落ち着いているだろうか。内心焦っていることがバレていないだろうか。

「もうやだよ。もう人を殺したくない。でも、殺した人の分まで生きないといけないから、、。俺、どうしたらいのかなぁ」

わからない。そんなの私が知りたいくらいだ。

「わかりませんよ。私だって知りたい」

「だから一緒に死なない?共犯になろう?」

セラ夫から発せられた言葉は衝撃的だったのにも関わらず、私はその言葉を待っていたかのように、喜んでいた。

「いいですよ。貴方となら死んだってかまいません」

「凪ちゃんは優しいね」

優しくなんてない。只々、セラ夫となら死んだって後悔しないと思っただけ。

屋上に足を運んだ。

やっと死ねる。と思ったけれど、

隣のセラ夫は震えていた。

「やっぱり、怖い、、、な」

「は?」

「、、、凪ちゃん。怖いよぉ」

なんて身勝手な言葉なんだ。

一緒に死ぬといったのはセラ夫でしょうが!!

「やっぱり死なない。なんて駄目ですよ」

「え?、、、」

私はセラ夫の腕を掴んで、屋上の端へと走っていく。

「な、凪ちゃん?」

セラ夫が私の名を呼んだって、無視して走る。

「一緒に死のうと言ったのは貴方でしょう?」

「え、、」

屋上の小さな柵を飛び越えて、セラ夫の腕を引っ張る。

「地獄でまた会いましょう」

「凪ちゃんッ!!」

空を舞う。私とセラ夫は手を繋ぎ、死を迎えた。





今日の僕はアキラよりも早く生徒会室に着いていた。

「アキラ遅いな?あいつが遅刻なんて珍しい」

ふと疑問に思った。

いっつも僕よりも早く来るアキラが時間になっても来ないのだ。

「ちょっと探しに行ってやるか!」

探して、散々いじってやろうという悪戯心から僕は生徒会室を出た。

教室を探し、校庭を回っているとき、ふと人集りができていることに気づいたが、

「なにかあるのか?」

そう思って通り過ぎようとしたとき、その最前列にひばがいることに気づく。

「なにかおもしろいことでもあるのか?そこにアキラもいたりするのかな?」

そう思い、人だかりをかき分けて最前列へと向かう。

「ひば?なにかあった___」

あったの?と聞く前に僕は言葉を失った。そこには、

アキラとセラの死体が残虐に置かれてあった。

ひばも言葉を失っているようで、僕とひば。二人して手をつなぎその死体が運ばれていく様を眺めていた。


それからは僕は二人の遺体を引き受けることに必死になった。

3年間一緒に過ごして友情というものが芽生えたのだ。

それに、あいつらの家が二人の遺体を丁重に扱うとは思えなかったから。

結果、僕らは二人の遺体を引き受けることができた。

その代わり、二人のことを思い出すような物品全て、情報全てを処分せることが条件だった。

僕達は家の力とかも使って処分することに成功した。

それによって二人が存在したことを表すものは僕達が持っている遺体以外無くなってしまった。




今の僕達は『にじさんじ』に入って、VTuberとして活動している。

裏の社会から逃げ出して、表の社会で、たくさんの人達を笑顔にしたいっていう夢を抱えて。

でも、この夢は元々僕達が持っていたものではない。

あいつらなんだ。あいつらが持っていた夢を僕達が代わりに叶えようとしてるだけ。

僕達は毎日遺体の前で手を合わせる。

「もしもこいつらが生きてたら、4人で活動してたのかな」

あいつらが生きてたら。

4人で馬鹿みたいにはしゃいで、笑って、でも真面目なところはしっかりとして。

そんな未来もあったのかな。

もう叶わないけど。

「奏斗。もう行こう」

ひばはそんな僕の言葉を無視した。

その未来のほうが良かったんだろう。

だからそんな叶わない夢見たくないから。無視したんだろうな。

「うん。行こっか」

僕は二人の遺体に背中を向けて歩き出した。



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