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〜教皇様の息子〜
第4話
あの……マリアってやつと話し終わったら、庭に飛び出やがった。授業が終わったから、あの日当たりがいい部屋で寝尽くしてやろうと思ったのに……
むぅ……
ってか、何だよ!
『ヘーキヘーキ』って。俺が治さないと、血は流れっぱなしだろ。
……でも、初めて会った時くらい、傷ついてないと死なないだろうな。きっとお前は。
んで、結局どこへ……
「あの子、二年の男に後をつけられてる。何があるのか分からないけど、魔力の動きは良さそうではないね」
「まぁ、そうだな」
心なしか何か視線を感じた気がしたけど……気の所為だ。気の所為。
「偵察、行ってきてくれない?」
「うげぇ……使い魔の使い方荒いなぁ……」
「これも立派な任務よ」
むぅ……行ってくるか……
俺は、こいつの腕の中から飛び降りてミヒャエルという男を追うやつを追った。
猫ならバレないだろ。
あいつは、あそこ――庭のベンチで待ってるらしい。
しばらく追ってるけど、動き無し。
追手側は、杖とほうきらしき物を持っている。
対してミヒャエルは……手ぶらだ。
気楽そうな、童顔男。そう比喩られてるのをちょこっと聞いた。
俺が見張ってると、前触れも無く追手側の男がほうきを振り上げた。
「……っ!」
何とかガードをしたが、怪我を負ったのだろう。顔をしかめている。
俺も、参戦したいけど……庭を壊しそうだ。なるべく穏便に済ませたい。
「にゃー」
鳴いてやった。
二人の注意はこちらへ向いた。
今が好機。
「さっきの……」
俺は、ミヒャエルという男に治癒魔法をかけた。
これで、『誰かに見張られてますよ』という釘は打てた。
よし。
俺は、去ろうとしたけど……物理的に無理だった。首根っこを掴まれた。
馬鹿にしてるつもりか? これは。
「何だ。普通の猫じゃないか」
はぁ?
俺は、腹を蹴って逃げ出した。
本能で、唸り声が出る。まぁ、あいつにもしょうがないって割り切られてる部分だ。
「ほらほら。そこでおしまい」
そう言って……こいつは、俺の事を抱き上げて不敵な笑みを浮かべた。
「私の使い魔が無礼を働き申し訳ございません」
「つ、使い魔だったのか……?」
追手側の男がビクビクと震えながら逃げる準備をしている。
「ふふふっ。そう思えませんよね。でも、頭はキレるんですよ」
「はぁ?」
声が出てしまった。
俺はしれっとそっぽを向いた。ミヒャエルという男と、こいつだけが気づいている。
「私は、ハンナ。平民育ちの使い魔持ちです。それでは失礼します」
こいつは、逃げようとしたけど……無理だった。
追手側の男がまたほうきを向けた。
ありゃ……こりゃあ、男が勝てないぞ……
「……負けに来たのですか?」
「はぁ? 平民育ちなんて、勝てるに決まってるんだろ」
こいつ……やっぱり偽名で呼ぼうか……ハンナは雷をそいつに向けて撃った。
でも、目の前で消えて無くなった。
〇・五秒後。やっと動いた。
「遅っ」
またもや、声が出てしまった。
まずいっ……
「は? 舐めてるのか? 猫ごときが」
こい……ハンナに目配せをしたら……頷いてくれた。
俺は、ため息を吐いてから、追っていた男の背後に回って肉球を首元に当てた。
「一回、痛い目見た方が楽かしら……」
「っ……!」
その男は、ビビり散らかして去っていった。
あ〜ぁ。問題にならないといいんだけどね……
俺は、何事も無かったかのように消えようとするハンナの背中をついて行った。
ミヒャエルは……きっと大丈夫。
俺の魔法をかけたから。精神を落ち着かせる魔法――否、光魔法。
俺は、治癒魔法と光魔法と風魔法が得意だ。
えっへん。
「黒猫。大丈夫?」
「大丈夫って何も……あんなやつに一発でも食らうなんて……いくら俺でもしないな」
「ふっ。ならいいんだけどね」
ハンナに『油断禁物よ』と言われるように頬を突かれた。
俺は、部屋についているベランダに出て日向ぼっこをした。
ハンナは部屋で魔法陣の方程式? みたいなのを説いている。研究者レベルだ。
七歳にも十五歳にも、見えない。いや、見た目はそうなんだけどさ。
「さっきは、ありがとう」
隣のベランダから話しかけてきたのは、ミヒャエルだった。
「あ、あぁ。見捨てるのは性に合わなくてな……」
俺は、苦笑しながらミヒャエルを見た。
「警備が頑丈だからって……隣が女の子の部屋なのは気を使わせてしまうな」
「そうか? あいつ、そーゆーことは気にしないんだよな。敵意とか、殺意とか、勘とか……そこら辺だけ研ぎ澄まされてなぁ……」
言っちゃ悪いけど女子力、三パーセント。
見た目は気にするけど、その他が雑過ぎる。
「S級のドラゴンを倒した小さな女の子は知ってるか? あんたの主人と同じ、桃色の髪に赤い瞳なんだ」
コメント
1件
いや〜第4話も最高だった!!😭💕 黒猫くんのツンデレ感とハンナとの軽快な掛け合いがたまらんすぎる!! 「女子力3パーセント」には笑ったけどww 猫のままミヒャエル助けて去ろうとするけど首根っこ掴まれるとことか、肉球で脅すシーンとか全部可愛すぎて悶えた🔥 最後のS級ドラゴンの話、めっちゃ気になる〜!!次回も楽しみにしてるよ!🐱✨