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江戸時代。吉原という場所があった。吉原にはたくさんの女たちがいて、客の男がいる。そこにいるのは様々な女たちで、格上の花魁から、花魁、女郎見習いの幼い禿までいる。桃梅もその一人だった。桃梅は花魁で、水戸屋一と謳われていた。ここに来たのは6歳だ。
ある日のこと。
水戸屋に一人の男がやってきた。50ほどで、身なりは枯茶色のくたびれた着物で、田舎者の感じだ。誰かしら?初めて見るので、皆、そう思った。彼は宝石商だと名乗った。そして主人の秋助の許可を取り、女郎たちがいる所へ行き、背負っていた包みを広げて見せた。中には色とりどりの、宝石がぎっしり、どっさり入っていた。琥珀、紅玉、青玉、翡翠、日長石、月長石、桃色珊瑚、真珠、黒真珠、ざくろ石、水晶、庭園水晶、紫水晶、黄水晶、煙水晶、血石、瑪瑙、黒瑪瑙、金緑石、孔雀石、蛇紋石などが詰まっていた。加工され、帯留めや櫛、着物や腕輪などに加工されているものもあれば、磨かれただけの宝石もある。女郎たちは身を乗り出して見つめたり、触り始めたりしました。
あんなのよりもわっちにはもっといいのがありんす。
わっちはそう思って見向きもせずにわっちの帯留めを触ってありんした。この帯留めはわっちが売られる前、母が送ってくれた紅珊瑚の帯留めなんでありんす。
と、ここで、あの宝石商がぐいっとこちらに来た。「花魁。いい帯留め持ってんじゃねえか。どうだい?売ってくれんかい?」意地悪く、にたにたとした笑みを浮かべて宝石商は言った。
わっちはきっぱり断りんした。この帯留めに勝る宝などありゃいたしんす。宝石商はくどくどくどくど言ってきましたが、断り続けるとようやく宝石商も諦めましたよ。みんなこれを欲しがるんですよ。やっと諦めてくれたと、この帯留めも思っていることでありんしょうねぇ
コメント
2件
え、続き書くのめっちゃ楽しみじゃん…