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第4話
nmmn
rimn
付き合っていて同棲している設定
R18シーンなし
第3話の続き
ある晩。
緋八マナはリビングのソファで膝を抱えていた。隣の部屋からは、ライがまだ配信を続ける声がかすかに聞こえる。
――今日、ほんまは一緒に映画見よ言ってたのに。
視聴者とのやり取りに夢中なライの声は、楽しげで、遠く感じられた。
マナは胸の奥にちくりとした寂しさを覚える。
配信が終わったのは、予定より二時間も遅かった。
ライが部屋から出てきたとき、マナは口を尖らせたまま目を合わせなかった。
「……マナ、まだ起きてたんだ」
「……」
「怒ってんの?」
「べつに」
返事は短い。
普段ならすぐ甘えるマナがそっぽを向くのを見て、ライは戸惑いを隠せなかった。
「ごめん。盛り上がっちゃって……時間忘れてた」
「……俺との約束は、忘れたん?」
低く落ちた声に、ライの胸がぎゅっと縮む。
「違うって! マナとの約束忘れたわけじゃ――」
「でも結果的に忘れられたんと同じやん」
「……っ」
二人の間に沈黙が落ちる。
マナは悔しさと寂しさで胸がいっぱいになり、思わず立ち上がって寝室へ向かった。
ドアが閉まる音がして、静寂が残る。
ライは唇を噛んで、拳を握った。
「……俺、何やってんだよ」
その夜、ライは寝室のドアの前に座り込み、声をかけた。
「マナ。起きてる?」
「……」
「約束破ったのは俺だよな。本当にごめん」
ドア越しに言葉を投げかける。返事はない。
けれど諦めず、ライは続けた。
「俺、配信してるときも……ずっとマナのこと考えてるんだ。『この話したらマナ笑ってくれるかな』とか、『終わったら一緒に見たいな』とか。……なのに、結局置いてけぼりにしちゃった」
声が震える。ドアの向こうで、布団に潜っていたマナの目尻が熱くなった。
「マナは俺の一番だよ。だから……怒られても、嫌われても、俺はマナと一緒にいたい」
静かな廊下に、押し殺した息の音が重なった。
やがて、ドアがゆっくり開く。
顔を出したマナの目は、赤く潤んでいた。
「……ほんまに、そう思ってんの」
「当たり前だよ」
ライは立ち上がり、マナを抱きしめた。
その胸に顔を押し付けながら、マナは震える声で呟く。
「……俺も言いすぎた。ライが一番大事やのに、寂しなって……」
「俺も。マナがいないと何も楽しくない」
二人の腕が、もう二度と離れないように強く絡む。
「これからは、約束守る。マナとの時間、絶対後回しにしない」
「……じゃあ許す。けど、責任取ってよ」
「責任?」
「俺を、ちゃんと幸せにしてよ」
赤い顔でそう言い切るマナに、ライは微笑んで唇を重ねた。
「当たり前でしょ。ずっと、幸せにする」
涙と笑みが入り混じったキスは、喧嘩の痛みを溶かし、二人の絆をより強く結び直していた。