「お嬢様。紅茶をお淹れしました」
それは、紅魔館での何気ない出来事だった。
ふと何かを思いついたレミリアは、
「…咲夜。貴方もたまには飲んでみたら? 咲夜が紅茶を飲んでいるとこ、あまり見かけないんだもの」
と、提案した。
「わかりました。お気遣いありがとうございます」
レミリアが何を意図しているかも知らずに、咲夜はその提案を聞き入れた。
(私、猫舌だから、紅茶を冷まさないとだわ。 …でも、冷ましているところをお嬢様に見られるのは恥ずかしいわね。こんな時は…)
―時間停止―
咲夜以外の全ての時間が止まる。時間が止まったのを確認すると、咲夜は息を吹きかけて紅茶を冷ました。
(…もう十分かしら)
―時間停止解除―
「…いただきます」
咲夜はそう言って、紅茶を口に含んだ。
「熱っ!!」
するとレミリアは、「引っかかったわね」と言わんばかりに、くすくすと笑った。
「咲夜。時間が止まっているんだから、紅茶の温度は下がらないわよ?」
「な、何故それを…」
「かわいい従者のことだもの。そのくらいわかるわ」
紅魔館は結局のところ、今日も平和なのであった。
終われ
コメント
5件
咲夜さんかわえ〜!レミちゃんも子供っぽい所が好きだあ!
いや〜!神ですねぇ...( ´ཫ` )