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二人は横並びになり、歩いて行く。
その間も、狐雲は華乃の横顔を盗み見ていた。
「……なぜ、泣いておった? 言いたくないならかまわぬが」
「…………縁談が」
しばしの沈黙の後、華乃は消え入りそうな声で打ち明けた。
「縁談が決まったのです。一月ほど先に……名前も顔も知らぬ方の元に、嫁ぎます」
その話に、狐雲は衝撃を受けた。
なぜそんな反応をしたのか、もちろんこの時の狐雲にはわからなかったが。
当惑し、言葉を選んだ。
「……他に、想い人が?」
「いいえ、恋など知りませぬ」
この可憐な少女が、恋すら知らず生き絶えて行くのかもしれない現実を知った時、狐雲はまるで美しい花の蕾が咲くことなく散るような物悲しさを感じた。
「こちらがわたくしの住処にございます」
かける言葉を思いつかないまま立ち止まったそこは、敷地の端が見えない大御殿であった。
やはり身分が高い者なのだ、それ故家の事情で見知らぬ男に縁談という名目で売られようとしている。ならば、と狐雲は考えた。
神力を解放し、華乃に自身が人ではないことを示す。